ブラジルW杯 ベストイレブンは誰だ!
■FW トーマス・ミュラー[ドイツ代表/バイエルン・ミュンヘン/24歳] 「派手さこそないが、旺盛な闘争心と常にゴールを感じさせるポジションを取れる点で非常に頼りになる選手と言える。ミュラーに対するチームの信頼感は、ブラジル代表との準決勝であげた先制点に凝縮されている。コーナーキックを蹴ったクロースの正確無比なボール、ダビド・ルイスのマンマークを遮断させたミロスラフ・クローゼの巧みなブロックを含めた高度なサインプレーは、ミュラーの高い決定力を抜きには成り立たないからだ」 ■FW リオネル・メッシ[アルゼンチン代表/バルセロナ/27歳] 「最後の2人には頭を悩ませたが、やはりメッシは外せないという結論に至った。運動量が少ないと批判される今大会だが、そうしたプレーが許される点で逆に価値のある選手だと思う。準決勝でオランダ代表に終始警戒心を抱かせるサッカーをさせたのも、メッシがいたからに他ならない。延長戦やPK戦に突入する前の円陣でメッシがチームメイトに話しかける姿はこれまであまり見られなかったものであり、それだけに無得点で終わった決勝戦は悔しかったはずだ」 ■FW アンヘル・ディ・マリア[アルゼンチン代表/レアル・マドリード/26歳] 「ドリブラーとしての本来の姿をあえて封印し、誰よりも走ることでメッシという絶対的なエースを支える影武者に徹してきたディ・マリアはある意味で代役の効かない存在であり、オランダ代表との準決勝では彼の負傷欠場も影響して苦戦を強いられた。スイスとの決勝トーナメント1回戦では、延長後半の終了間際に値千金の決勝ゴールも決めている。ドイツ代表との決勝戦には間に合うとの情報もあったが、プレーできなかったことはディ・マリア本人も無念だったはずだ」 10人いれば、おそらくは10通りの「ベストイレブン」が選出されるだろう。水沼氏も熟考した末に、フォーメーションにとらわれずにGK以外はDFを3人、MFを4人、FWを3人の内訳で選手を選んだ。大会を通じてドイツが見せた強さと日本列島を寝不足に誘った熱き日々を蘇らせながら、自分なりの最強イレブンに思いを巡らせるのも4年に一度のワールドカップの楽しみと言えるかもしれない。 (文責&構成・藤江直人/スポーツライター)