ブラジルW杯 ベストイレブンは誰だ!
約1か月にわたって熱戦が繰り広げられてきたワールドカップ・ブラジル大会は、延長戦にもつれ込んだ死闘の末に、ドイツの6大会ぶり4度目の戴冠で幕を閉じた。南米大陸で開催されたワールドカップで、5大会目にして初めてヨーロッパ勢が優勝を果たした余韻が残る中で、64試合に及んだ頂点までの軌跡を彩った選手たちの中から、元日本代表MFの水沼貴史氏に「ベストイレブン」を選出してもらった。
■GK マヌエル・ノイアー[ドイツ代表/バイエルン・ミュンヘン/28歳] 「ペナルティーエリアを果敢に飛び出していく守備範囲の広さ、ビルドアップにも参加できる足元の技術の高さ、193cm、85kgと大柄でありながら至近距離からのシュートに見せた反応の鋭さ。すべての点で近年稀に見る優秀なゴールキーパーの評価を与えていい。メキシコのギジェルモ・オチョア、コスタリカのケイロール・ナバス、アメリカのティム・ハワードとゴールキーパーのレベルが高かった今大会だが、その中でも抜きん出た存在だった」 ■DF チアゴ・シウバ[ブラジル代表/パリ・サンジェルマン/29歳] 「オランダ代表との3位決定戦ではらしくないプレーがあったが、キャプテンとしての統率力と対人能力の高さの両面で、前評判通りの実力をいかんなく発揮した。センターバックを組むダビド・ルイスが激しい気性を収めてプレーできたのも、隣にチアゴ・シウバがいたからこそ。ドイツ代表との準決勝で守備網が破綻をきたし、まさかの7失点を喫した大敗は、ある意味で累積警告による出場停止で不在だったチアゴ・シウバにも責任論が及ぶかもしれない。それだけ存在感を放つ選手だった」 ■DF ガリー・メデル[チリ代表/カーディフ・シティ/26歳] 「ワールドクラスなのかと問われれば疑問符がつくかもしれないが、3バックで組む最終ラインにメデルがいたからこそ、前線から積極的にプレスを仕掛けるチリの戦法が可能になった。ときには最終ラインが彼一人の状況になっても幅広いエリアをカバーする運動量、171cm、72kgと小柄ながら空中戦をまったく厭わない闘争心には感動すら覚えた。サイズが小さくてもしっかりと守れることを証明した点で、元スペイン代表のカルレス・プジョルを彷彿とさせる選手だった」 ■DF フィリップ・ラーム[ドイツ代表/バイエルン・ミュンヘン/30歳] 「昨シーズンからバイエルンを率いるジョゼップ・グァルディオラ監督にボランチとしての才能を見出され、30歳にしてプレーの幅を広げたラームだが、やはり特筆したいのは決勝トーナメントから回った本来の右サイドバックでのプレーだ。グラウンダーと長いボールを蹴り分けるなど、攻め上がってからのアイデアが非常に豊富で、ドイツのサイド攻撃が一気に厚みを増した。高い技術と無尽蔵のスタミナも含めて、私としてはディフェンダーとしてのラームを推したい」