トランプ氏勝利で新NISAで人気の海外投信どうなる? 米国成長の恩恵を直接受けられる「S&P500」、リスク分散を目指す「オルカン」の行方
米大統領選イヤーの今年、日本では新NISA(少額投資非課税制度)の開始で飛躍的なブームとなったのが「海外投信」だ。その勢いは、大統領選後も続くと見られている。
今年1月の新NISA導入で非課税(本来は売却益に約20%課税)での投資枠が拡充され、より多くの金額を長期的に運用できるようになった。 そのため個人投資家は新NISA枠を活用して、長期的にリターンが期待できる資産へ資金を振り向ける傾向が強まっている。株価指数などに連動した「インデックス投信」にはこの1年で10兆円もの個人マネーが投資され、なかでも人気を集めたのが“オルカン”の呼称で知られる「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」と「S&P500」連動型の海外投信だ。 オルカンは米国、日本をはじめ先進国や中国、インドなど新興国に上場する大型株と中型株約3000銘柄の株価に連動する投資信託。「S&P500」はニューヨーク証券取引所や米国NASDAQの500銘柄の株価指数に連動する投資信託のこと。大まかに言うと、オルカンは世界の株価、S&P500は米国の株価に連動して価格が上下する。 オルカンは今年1月から10月までに資金流入額が2兆円を超え、基準価額も年初の約2万1000円から現在は2万6000円に上昇。S&P500連動型(eMAXIS Slim米国株式)も、基準価額が年初の約2万4000円から約3万1000円へと約30%上昇している。
来年1月には新NISAの非課税枠も更新される
マーケットバンク代表の岡山憲史氏は「大統領選の最中にあった“危機”を乗り越えたことが大きい」と強調する。 「オルカンもS&P500連動型も、7月末から8月はじめの急激な円高・ドル安に伴う株価急落時に一時的に基準価額の急落が起こりましたが、すぐに回復した。そのことから、かえって投資家の信頼感が高まり、9月以降も個人投資家の購入が続いています。大統領選の決着を受けて個別の業界、銘柄では大きな上下動があるかもしれませんが、市場全体の指数に投資する海外投信への投資トレンドは衰えることなく、来年以降も中長期的に続く可能性が高いと思われます」 新NISAの非課税枠は毎年更新され、来年1月には新たに「つみたて投資枠」120万円と「成長投資枠」240万円の合わせて年間360万円まで非課税で投資できる。 今後の投資先選びについて、前出・岡山氏はこう続ける。 「S&P500連動型は米国の主要企業500社に投資するため、米国経済の成長に直接的に連動します。その性格上、米国の全体相場が急落した際に大きな損失を被るリスクがあります。一方、オルカンも米国株の比重は高いものの、全世界の株式に分散投資しているため、S&P500連動型よりリスク分散効果が高いと言えます。分散投資をより重視するかで選択は変わってきますが、大統領選後の米国市場の成長が期待されるなかでS&P500連動型は注目度が増しそうです」 さらなるブーム到来に備えて資金を投じるべきか、早いタイミングでの判断が重要になりそうだ。 ※週刊ポスト2024年11月22日号
【関連記事】
- 米大統領選で繰り広げられた「イーロン・マスク氏vsビル・ゲイツ氏」のマネーゲーム 足元ではテスラの牙城が崩れ、日本の自動車メーカーにも好機
- 「1ドル=70円台、日経平均は3000円台まで大暴落もあり得る」森永卓郎氏が警鐘を鳴らすトランプ氏再選後の最悪シナリオ
- 【年末までに仕込みたい注目株&投資信託16選】来年1月の新NISA非課税投資枠更新で新規マネー流入期待、注目は高配当株や政策追い風銘柄
- トランプ氏勝利で見えてきた「ウクライナ戦争の終わり」は日本経済にとってチャンスに エネルギー・食糧価格が低下すれば浮揚の道も
- 【バフェット氏が狙う日本株】“投資の神様”が日本円を大量調達 “バフェット効果”で上昇期待の15銘柄を大公開