工夫次第で悪化を防げる。今すぐできる花粉症対策(専門家が監修)
偏食や加工食品の過剰摂取、自覚していなかった食物性アレルギー、進みゆく細胞の酸化…。もしかすると毎日のその何気ない生活習慣が、花粉症を悪化させている可能性もある。今からできる対策を総チェック。何でも試してみることに必ず意味はあるはず。[監修・取材協力/大久保公裕(医師、日本医科大学大学院医学研究科教授)]
教えてくれた人:大久保公裕さん
おおくぼ・きみひろ/日本医科大学大学院医学研究科頭頸部・感覚器科学分野教授、同付属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科部長。WHOおよび日本政府の推奨治療法である舌下免疫療法の開発者にして免疫アレルギー性疾患、花粉症治療のエキスパート。
食事は毎日多品目を口にする
くしゃみや鼻水といった花粉症の症状には自律神経の副交感神経が関わっている。交感神経と副交感神経のバランスが崩れると花粉症の症状が悪化するので、自律神経を整える生活習慣、とくに規則正しい食事の習慣づけは非常に重要。 「しかも食事は肉、魚、卵、乳製品、野菜など多品目を食べること。多種類の物質に触れるほどカラダの中でスギ花粉が占める割合が減ります。たとえば牛丼ばかり食べていると肉、ごはん、スギ花粉の3種類になりスギ花粉の影響が非常に大きくなってしまう。多品目の食事でリスク分散を」(大久保先生)
乳酸菌を味方につける
感染症や花粉症の時期になると、飛ぶように売れるのがヨーグルトや乳酸菌サプリ。乳酸菌が本来備わっている免疫力をサポートしてくれるというのがその理由。腸内には免疫に関わる細胞の約70%が存在している。いわゆる善玉菌である乳酸菌を増やし、腸内細菌を整えることで免疫細胞が活性化され、同時に過剰な免疫反応を抑える働きも期待できるのだ。 「ヒトのカラダの中で生きられる腸内細菌の中でも乳酸菌は確かに花粉症の症状を緩和します。ポリフェノールと同様、アレルギー症状が悪い方向に進むのを引き止める可能性はあります」
抗酸化物質を取り入れる
数年前、緑茶のカテキンが花粉症対策として注目された。カテキンは植物の色素成分であるポリフェノールの一種で強力な抗酸化作用で知られる。カラダに取り入れた酸素の一部は反応性の高い活性酸素に変換され、細胞を傷つける。活性酸素が花粉症による粘膜や皮膚を傷つける反応を促進する可能性もある。ポリフェノールなどの抗酸化物質はこの反応を抑制し、一部のポリフェノールはアレルギー症状を直接的に引き起こすヒスタミンを抑制するともいわれている。花粉飛散の時期、緑茶、野菜、果物、赤ワインなどを積極的に口にするのも手だ。