メディアがひろめる「日本ダメ論」…“まったくの見当違い”といえるワケ【経済の専門家が解説】
日本は今の“円安の僥倖”を享受すべき
市場関係者もエコノミストも為替に関する因果関係を逆転させなければいけない。為替は経済実態の結果なのではなく、原因なのだということを知らなければならない。 かつて、日本はデフレで円の購買力が強まっているのだから円高は当然だ、円高という現実を受け入れるべきだと多くのエコノミストが主張していた。 しかしその円高が日本の競争力を奪い、企業とビジネスチャンス、雇用、資本の海外流出を促進し、日本の内需を痛めつけたことでさらにデフレを進行させた。円高とデフレの悪循環を断ち切ったのは、円安誘導を起点にリフレを実現しようとしたアベノミクスと黒田異次元緩和によってであった。 為替は将来の経済を決定する最も重要な指標であることを忘れるべきではない。日本の産業復興を切望する米国が、円安を誘導しているのだ。 韓国が2008年から2013年の著しいウォン安の過程で飛躍的に競争力を強め、日本のハイテク企業をなぎ倒したが、円安の定着は日本の劇的再台頭を準備するだろう。 日本は巨大な製造業立国として、サービス(観光)立国として再登場するだろう。それにより長期的に日本の強い円は復活する。 日本は今の円安の僥倖を享受するべきであり、間違っても円高誘導等、無駄な抵抗をするべきではない。 武者 陵司 株式会社武者リサーチ 代表
武者 陵司