美肌や健康を支える、筋肉の真実とは?
筋肉を鍛えるのは見た目や運動能力のため、と思ったら大間違い。肌の美しさも全身の健康も筋肉量が関係している! 特に下半身を意識して、いますぐ筋トレ開始。 【写真】ヒップアップに効果的なジムのマシンはどれ?
疲れやすくなった、太りやすくなった......そんなエイジングの兆候をずっしり感じ始める40~50代。それは「筋肉」不足が原因? 筋肉について長年研究を続ける京都府立大学の青井渉准教授に聞いた。 「筋肉量は20代をピークに、意識的に運動をしなければ30代以降は年1%程度ずつ落ちるといわれます。量を食べていないのに太りやすくなったら筋肉減少のひとつのサイン。筋肉量が減ると生活のあらゆる場面で支障が出てきます。筋肉は『身体を動かす』のみならず、全身のさまざまな生理機能に関係していることが年々明らかになっています。10年ぶりに改訂された厚労省の運動基準でも、新たに筋トレを推奨する項目が追加され、筋肉への注目度は高まっています」 健康づくりのための身体活動・運動ガイド(成人) ✔︎ 歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日60分以上(1日約8000歩以上) ✔︎ 息が弾み、汗をかく程度以上の運動を週60分以上 ✔︎ (NEW) 筋トレを週2~3日(運動週60分に含めて可) ✔︎ (NEW) 座りっぱなしの時間が長くなりすぎないよう注意 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」より抜粋 新たな筋トレの"副産物"として注目されるのが、運動時に骨格筋から分泌される"マイオカイン"という物質。 「筋肉を動かすと出る活性物質で、サイトカインの一種です。骨、脳や腸、皮膚など全身に働きかけ、糖尿病や動脈硬化、認知症の予防・改善にも有効とされるほか、炎症性サイトカインの発現を減少させる作用も。がん予防におけるマイオカイン研究にも期待が高まっています」 とはいえ、いざダンベルやマシンを使った筋トレとなると、途中で挫折する女性は多いかもしれない。 「ある程度の負荷を与えることで筋肉は強くなるので、スクワットなどセルフでできる筋トレを習慣に。ポイントは動作をゆっくり行う"スロートレーニング"。運動効果を最大化するには栄養素も大切。タンパク質のほかアスタキサンチンや抹茶も筋トレのお供として注目です」 ヨガやジョギングなどがルーティンの人も、"筋肉を増やす"ための運動を追加したい。特に大きな筋肉が集まる下半身に重点をおくと効率がいい。筋トレを継続すれば、筋肉がつくだけでなく、持久力もアップし、脂肪燃焼や美肌、全身の健康にもQOL向上にも繋がりメリットだらけ。そして、筋肉の素晴らしいところは"鍛えさえすれば何歳からでも増やせる"こと。無理なく、ずっと続けられる筋トレをいますぐ始めよう! 青井 渉 京都府立大学大学院 生命環境科学研究科 栄養科学研究室 准教授 京都府立大学卒業、筑波大学大学院修了。京都府立医科大学大学院修了。医学博士。臓器間ネットワークとマイオカイン、エネルギー代謝などを専門とし、食と運動、骨格筋との関わりを研究。