「これは一生の宝物」母がコツコツ貯めた長男の貯金、通帳の成長記録に涙「小学校6年間皆勤賞」「難しい年頃でした」長男の反応は?
「ベストお母さん賞」嬉しかったです
――この「1日100円貯金」を発案されたきっかけは? すっかり忘れていたのですが、このアイデアは夫の思いつきだったようです。「俺は発案しただけで実行したのはお母さんだからなぁ」と言っていて、心の中で「そうだったんだ!」と思いました。 ――20年…感慨深いものがありますね。通帳内の「トラックにはねられて集中治療室へ…」が非常に気になるのですが。 まだ子どもがいなかった頃、夫の親友が家族に言った「おやすみ」の挨拶を最期に急死したことがあったんです。それ以来、いつどのタイミングで何かあったとしても悔やまないように「挨拶はしっかりやっていこう」と決めていて、子どもたちにも挨拶を大事にするよう言い聞かせて育ててきました。 反抗期真っ盛りで、わたしには悪口雑言を浴びせても、「おじいちゃんお風呂お先にありがとうございました」なんて言う子です。そんな中で、その日は初めて「行ってきます」を言わずに自転車で友達の家に出かけてしまったんです。「あ、挨拶しないで出かけちゃった…」となんだか胸騒ぎがしていたなか、トラックに跳ねられて今から救急車で運ぶと連絡が入ったんです。 最初に運ばれた病院では手に負えないと言われて、さらに大きな病院に運ばれました。両肺から出血する両肺挫傷で集中治療室へ。奇跡的な回復ですぐに退院できたんですが、もうあんな思いはしたくないです。気のせいだと思うけど、あの日から白髪がめちゃくちゃ増えたと思っています。 ――そんな大事故が…本当に無事に成長されて何よりです。またXには「暗黒の反抗期」とも。 反抗期は、だんだん薄くなっていった感じです。抜けたかな?まぁだまだ…抜けたかな?まぁだまだ…みたいなことがあって、いつのまにかトンネルから出ていたように思います。一時期「反抗期VS更年期!」みたいにゴジラ対メカゴジラみたいになったこともありましたが、「生理前のイライラもホルモンバランスだし、きっと反抗期の悪口雑言もホルモンが言わせているんだな、しょうがない」と割り切って、「仕事しよっと」「おいしいもの作ろうっと」と気持ちを切り替えて子どもに干渉しすぎず、自分の時間を大事にすることを意識していました。美味しいカレーや唐揚げ、生姜焼きの前では反抗期も収まるようでしたよ。 ――美味しいご飯の前では素直に!なんとも愛らしいですね。長男さんはこの通帳の存在を友人経由で知ることになったと? そうなんです。長男の友達が見つけて「お母さんがバズっている」と連絡をくれたことが発端になりました。「すげー感動する!ありがとう」「俺も将来やろうっと」というLINEとともに、『ベストお母さん賞』とコメントしてくれていた方のスクショも送ってくれました。 ――優しくしっかりとした大人に成長されておられることが想像できます。 17歳の誕生日に日付が変わってすぐのとき、「17年前産んでくれてありがとうございました」とLINEをくれたんです。その当時は反抗期真っ盛りでしたからびっくりしました。廊下を挟んで向かい側にいるのに「直接言葉にできなくてLINEくれたんだなー」と思ったら、しみじみかわいいなぁと。これからも「おめでとう」と言われる前に「ありがとう」が言える人であってほしいなと思います。 ――「通帳は印字されていな部分には何も書いてはいけない」ということも初めて知りました。 地元の郵便局のATMがたまたま故障していて、窓口で記帳してもらった時に職員さんから教えてもらいました。 ――残りお2人分…とのことでしたが、まずは長男さんの分を終えて現在の感想は? 「やっと1人終わったか!」という気持ちです。このあと娘と次男の誕生月が続くので、忘れないようにスケジュールに入れておかないと! 寄せてくれたコメントも全部拝見しています。ありがたい限りですね。これから先も元気がないときに眺めちゃう気がします。「ベストお母さん賞」も嬉しかったですし、「こんな通帳もらったら泣いちゃう」というコメントには、頑張ってよかった!と思いました。 ◇ ◇ 丁寧に記された成長のメモを読むだけでも涙が出てきます。思いやりがあり相手の気持ちを考えられる優しい男性に成長されている長男さん。どんな時も寄り添い、見守り、支えてきた、きくちいまさんの愛情がしっかりと伝わっているのだろうなと感じました。 きくちいまさんは、着物の楽しみを伝えるエッセイスト&イラストレーターとしても活躍中、『月刊アレコレ』『きものと』でのイラストエッセイのほか、3月30日には「東京キモノショー2024」でトークショーを行う予定です。 (まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・太田 真弓)
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