勤務中に「失禁」や「失神」も…78歳交通誘導員が目撃した、大勢のシニアが支える「過酷な交通誘導の現場」
警察庁の発表によれば、全国の警備員の数は過去最高の58万4868人(2023年12月末時点)。このうち、70歳以上の働き手は最多の20.1%(11万7411人)を占めている。 【マンガ】工事現場でよく見かける「交通誘導員」はいくら稼げる?驚きの最高月収 高齢化が進む警備業のなかで主流をなしているのが、工事現場などで誘導灯を振り、歩行者やクルマを案内する交通誘導警備員(以下、交通誘導員)だ。 そんな交通誘導員の実情を赤裸々に語った『交通誘導員ヨレヨレ日記』は、2019年に発売されるとたちまち話題になった。78歳を迎えたいまでも交通誘導員として働く著者の柏耕一さんに、シニアが支える交通誘導の現場について話を聞いた。
脳梗塞、高血圧、糖尿病…
「今日は病院に行っていたんです」 取材当日、待ち合わせ場所の喫茶店に現れた柏さんは、そう言うとゆっくり腰を下ろした。なんだか歩くのもしんどそうだ。 「このくらいの歳になったら、みんな病院にお世話になりますから(笑)。歩き方、気になりました?3年ぐらい前に脳梗塞をやってしまいましてね。夏にビールを飲んでいたら、やたらと口からこぼれるからおかしいなと思って。 そしたら今度は散歩中になんでもないところで転んじゃったんです。すぐに病院に行ったら脳梗塞と診断されました。早期発見だったので血液がサラサラになる薬を3年くらい飲み続けて、最近ようやく治療が終わりました。 でも、足はだいぶ言うことを効かなくなりましたよ。同じ距離でも前より2倍の時間がかかるようになりました」(以下、「」内は柏さん) それだけではない。70代に突入してからは高血圧、糖尿病との付き合いも始まった。この日はかかりつけの内科に薬をもらいに行っていたのだという。1年前には白内障の手術も行い、「最近は耳も遠くなってきた」と柏さんは苦笑する。 70代後半といえば、それなりの年金をもらいながらの悠々自適な生活をイメージするかもしれない。しかし、柏さんはいまも週5日間、交通誘導員としてきっちり働く。