銅メダル清水のプロデビュー戦に金メダル村田が苦言?!
プロとアマの差を随所に感じたという。 「アマでは、しっかりとガードを固めていたらパンチはもらわないが、プロはグローブが半分くらいに小さいので隙間から打たれるし、耳の後ろを打たれたりする。そのあたりのディフェンス技術が必要になる。グローブも固く感じた。アマのようなグローブにワンクッションがなく、男の殴り合いという感じだった。カウンターも合わなかった。少し詰まってトップスピードであたらなかった」 アマで160戦近くの試合をしてきたが「プロは華やかで、1試合がでかく感じた」とも言う。 結果的には、KOデビューとなったが、インパクトがあったかと言えば?だ。 「勝っているのにプロにアジャストしていない部分があった。腰は高いし、パンチをもらう危うさもあって、アップアップしていた」とは、リング上から“口撃”を受けたロンドン五輪金メダリスト、村田諒太の正直な感想。筆者も同じような評を抱いた。 突っ立ってパンチは手打ち。スピードはなく上半身の力みが目立った。 プロのデビュー戦から、すべてを求めるのは無理かもしれないが、コンビネーションブローは、ほぼ打てずにすべて単発。ガードもまるで甘くて不安点が目についた。 敗者の韓国王者は、「スピードは自分と同じくらいだった。うまく距離をとってパンチを当てられた」と、清水の当て勘の良さを称えた。確かに、長身、リーチ、サウスポーの利点を生かした“距離”と当て勘が、清水のプロで生きていくための武器には違いない。だが、村田の3年前のスタート時点と比べると物足りない。対戦相手も、村田のデビュー戦相手は、当時の東洋太平洋&日本王者の柴田明雄だったが、今回の韓国王者は、3勝2敗のキャリアしかなく、かなりの格下。結果としては、同じKOデビューではあったが、プロのスタート時点では、金メダルと、銅メダルの差は、まだ埋まっていない。 清水と村田は同級生。何ひとつ気がねすることなく話のできる2人の関係だからこそ、村田もあえて本音で苦言を呈したのだろうが、「確かにデビュー戦は緊張するもの。その上で相手はパンチがあるからね。清水のリング上の視線から目をそらした? 僕を見る前にセコンドを見るべき場面。違う、違うと思って、目をそらした(笑)まあ、清水はメディア慣れはしているのでアピールの仕方は上手い。2人で世界? 同志がいるのは心強い」と、フォローした。 30歳にしてのプロデビュー戦を終えた清水は、現実を見たのか、ビッグマウスも抑え気味。 「内容的に点をつけるとすれば80点から90点。もっと柔らかく華麗に動けるように、パンチをもらわないボクシングをしたい。2年以内に世界と言いましたが、1試合、1試合、やっていかないと駄目。プロで、ロンドンの五輪がかすまないようにしなければ」 ここから、どうプロ仕様に変貌を遂げて、成長していくのかが、清水と村田の世界ベルト獲得競争の命運を分けることになりそうである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)