「エンジン」でも航続距離は長くない BMW M2 長期テスト(3) F32型より広い全幅
ガソリンが少ない深夜に早く帰るには
バッテリーEVの充電と、決定的な違いはある。現状のグレートブリテン島では、ガソリンスタンドを見つける方が、急速充電器を見つけるより遥かに簡単。満タンになるまでの時間も、満充電になるより遥かに早い。 ただし、M2がお望みのハイオクガソリンは安くない。バッテリーEVで同じ距離を走れる電気代より、英国では高く付くことが一般的だ。 先日の夜に、グレートブリテン島南部のロンドン・ガトウィック空港へ向かう飛行機は、諸事情で遅れた。M2のタンクに残るガソリンが少ないことには気づいていたが、行きは渋滞が酷く、給油は帰り道にすることにしていた。 こんな状況の深夜で、早く自宅へ辿り着きたい時には、2つの選択肢がある。アクセルペダルを丁寧に傾けて、できるだけ効率良く走るか、急いで走れるだけ走って、途中でエネルギーを補充するか。バッテリーEVなら、間違いなく前者を選ぶだろう。 しかしM2なら、後者を選んでも間違いではない。スタートボタンを押してエンジン音を聞いたら、自ずとそうしていた。結果的に不慣れなガソリンスタンドへ立ち寄ったが、後悔することはなかった。
積算1万302km ありがたいバックセンサーとカメラ
2ドアクーペではよくある悩みだが、リアピラーが太くリアウインドウが小さく、トランクリッドの高いBMW M2はバックで気を使う。こんな時にありがたいのが、バックセンサーとカメラだ。 M2のそれは良く機能し、今のところヒヤッとした瞬間はなし。リアのオーバーハングが短く、クルマの後方には意外と広い空間も残る。先代よりだいぶ成長したG87型ながら、扱いやすいサイズだと思える。
テストデータ
■気に入っているトコロ ドライなサウンド:S58型の直列6気筒エンジンは、新しいM4より僅かにデチューンされている。それでも惚れ惚れする美声を奏でる。 ■気に入らないトコロ 実際の燃費:時間や天候を問わず、M2ではガソリンスタンドへ寄る回数が増えがち。 ■英国価格 モデル名:BMW M2 クーペ(英国仕様) 新車価格:6万2420ポンド(約1186万円) テスト車の価格:6万6940ポンド(約1272万円) ■テストの記録 燃費:8.3km/L 故障:なし 出費:なし
ジェームス・アトウッド(執筆) 中嶋健治(翻訳)