生活保護「不正受給の一覧」2011年は173億円以上だが最近は減っている?冬に加算される金額も
生活保護を受けている人の2世帯に1世帯が高齢者世帯?
次に生活保護を受けている世帯の内訳を見ていきましょう。 厚生労働省の「生活保護の被保護者調査(令和5年1月分概数)の結果を公表します」によると、生活保護を受けている55.3%が高齢者世帯となっています。 なお、高齢者世帯の生活保護の利用は年々増加傾向にあり、1998年度は生活保護を受けている高齢者世帯が29万5000世帯だったのに対して、2022年では90万8000世帯にまで増えています。 上記のことから、年金だけで生活していけない高齢者世帯が増加しており、年金が足りずに貯蓄もないシニア世代が生活保護を受けているのだとうかがえます。
生活保護の「不正受給」は増えている?減っている?
厚生労働省の「全国厚生労働関係部局長会議資料」によると、生活保護を受けている総世帯の数は、約20年前と比較すると2倍近くまで増加しており、生活に困窮している人が増えている現状がみてとれます。 年々増加する生活保護の利用者の現状をみて「不正受給者はいないのか」と、疑問に思った方もいるかもしれません。 厚生労働省の「生活保護業務の効果的・効率的実施及び不正受給対策について」によると、不正受給件数及び金額は、ここ数年は減少傾向にあると公表しています(図表参照)。 ●生活保護「不正受給」の件数と金額【一覧】 2011年:3万5568件(金額173億1299万9000円) 2012年:4万1909件(金額190億5372万2000円) 2013年:4万3230件(金額186億9033万3000円) 2014年:4万3021件(金額174億7903万円) 2015年:4万3938件(金額169億9408万2000円) 2016年:4万4466件(金額167億6661万9000円) 2017年:3万9960件(金額155億3001万9000円) 2018年:3万7234件(金額140億595万4000円) 2019年:3万2392件(金額129億6089万5000円) 2020年:3万2090件(金額126億4659万3000円) なお、不正受給の内容としては、約6割が稼動収入の無申告や過少申告となっています。 近年減少傾向にある不正受給ですが、現在もなお3万件以上の不正受給が発生しているのが現状です。 このような事態を受け、生活保護の不正事案に対し、適正な保護の実施や制度への国民の信頼を確保する動きがあります。 具体的には厳正な対処が必要であるとの考えのもと、福祉事務所の調査権限の拡大や罰則の引上げ等を2014年7月より施行しています。 最近では2023年9月27日に、生活保護の不正受給(詐欺)事案として、京都市が元被保護者を詐欺罪の容疑で同署に逮捕したと発表しています。 上記のように不正受給対策を徹底し、該当する場合は不正受給者に罰則が設けられていることから、今後も不正受給は減少傾向に向かうとうかがえます。