「損失は少なくとも10億円以上にのぼるのでは…」 “ニコニコ動画”サイバー攻撃で関係者が口にする不安
KADOKAWAグループのシステム障害が長期化の様相を呈している。KADOKAWAの公式HPは現在も閲覧ができない状況が続いており、グループのサービス内でも特に利用者の多い「ニコニコ動画」は、6月16日までの放送中止が発表されている。ニコニコ運営チームは「ニコニコのシステム全体を再構築をするための対応」を進めると表明しているが、現役社員の1人は「一筋縄ではいかないだろう」と不安を口にする。 【写真を見る】「月刊ニコニコインフォ」の“スパチャ”で飛び交った投げ銭の金額にはある“特徴”が ***
YouTubeにニコニコユーザーが集結
6月11日の20時からは急遽、YouTubeのライブ配信でニコニコ動画の公式番組「月刊ニコニコインフォ」が放送され、ニコニコ動画代表の栗田穣崇氏が出演した。 栗田氏は、ハッキング被害の実情について、現時点で公式発表以上のことは何も言えないとした上で、ユーザーから多数寄せられているという、応援や励ましの声に対する感謝の言葉を何度も繰り返した。 ニコニコ動画の番組がYouTubeで放送されるという、まさに“非常事態”の中、同時視聴者数は一時1.1万人を超え、その関心の高さが窺えた。 また、YouTube Liveの投げ銭機能であるスパチャ(スーパーチャット)でも、ユーザーの“ニコニコ愛”を感じさせる出来事があった。ニコニコをもじった2525円を「#頑張れニコニコ運営」などのメッセージを添え、投げ銭する人が数多くいたのである。 ユーザー数が年々減少傾向にあると言われるニコニコ動画だが、こうした視聴者の行動から、まだまだ根強いファンの存在があることを世間に知らしめる結果となった。 一方で無視できないのが、サイバー攻撃によって被る被害額がどこまで膨れ上がるのかという懸念である。
ハッカーの狙いはよく分からない
サイバー攻撃の詳細については、角川ドワンゴの社内でも、まだほとんど開示がされていないという。 「サイト自体が止まっているので、今はできる仕事がない状況です。上層部やシステム関係の部署の人間以外は、とにかくじっと復旧を待つしかありません」 そう話すのは、ニコニコ動画の運営に携わる現役社員のA氏である。 「攻撃を受けたのは出版事業などにも使われている基幹システムで、まさに“心臓”です。そのため、影響がグループ内の広範囲に広がっています」(A氏) しかし、一体だれが、何のために――? 「相手が誰なのかは現時点では知らされていませんが、例えば国内の個人のハッカーとは考えにくい。アクセス権なども奪われている状況で、恐らくですが組織的な攻撃を受けたのではないか」(A氏) ニコニコの公式発表によれば、クレジットカード情報の漏洩は確認されていないということだが、メールアドレスなどの個人情報が流出した可能性があるかは、現在調査中だ。 「ハッカーの狙いはよく分かりません。もしかすると、個人情報などを盾に“身代金”を要求してきているのでは、と推測する同僚もいますが、はっきりしたことは何も知らされていません」(A氏)