『京都市の死者最大4100人』懸念される大地震リスク 市のハザードマップから見えた“落とし穴”とは「私のいる場所は震度5強...と思ったら震度6強!?」
なぜ?京都市のハザードマップは『区の境界で想定震度に違い』
市は今年3月、花折断層など京都市周辺の断層で地震が発生した際の最新のハザードマップを作成、市民に注意を促しています。ところが… (記者リポート)「こちら三条通の交差点の南側です。こちらはハザードマップで最大震度6弱が想定されているんですが、横断歩道を渡ると震度6強の想定に変わります」 一体なぜなんでしょうか。
京都市のハザードマップでは想定される複数の地震のうち、その区ごとに最も多くの住民が強い揺れに襲われる地震について記載しています。例えば同じ区内でも住民が多い市街地と少ない山間部で揺れが大きい地震が異なる場合、住民が多い市街地の地震の想定が区内全域に適用されるのです。 中京区は花折断層の地震を想定していますが、隣の右京区は別の地震を想定しているため、区の境で想定震度が異なる場所が出たのです。立命館大学衣笠キャンパスは北区と右京区にまたがるため、同じキャンパス内で、震度5強と震度6強の異なる震度が想定されています。
専門家「京都市のハザードマップはミスリードを起こす可能性」
では、震度5と6はどれほど違うのか、京都市市民防災センターで地震の揺れを体験すると… (記者リポート)「震度6クラスはテーブルの脚を強く掴んでいないと身体がもっていかれそうになりました。震度5クラスと震度6クラスではかなりの差を感じました」 地震ハザードマップを研究している龍谷大学の石原凌河准教授は、京都市のハザードマップは住民に誤解を与える恐れがあると指摘します。 (龍谷大学政策学部 石原凌河准教授)「区ごとの地震ハザードマップは、断層がかなり特定されすぎていて、『その断層(の地震)だけしか想定されていないんじゃないか』というミスリードを起こす可能性がありますので、他の断層による被害も想定されているということを合わせて伝えていくべきかと思います」 同じく複数の断層が周辺を通る札幌市では京都市のように区で分けるのではなく、想定される5つの地震の中からその地点の最も高い震度をハザードマップに載せ、市民に備えるよう啓発しています。 京都市は一部の区の境界で想定震度に差が生じている今のハザードマップについてどう考えているのでしょうか。 (京都市防災危機管理室 吉川暢担当係長)「行政区ごとに想定する断層が違うことによって安心材料になってしまう可能性もありますので、今後この方式が正しいのかどうかも検討していきたいと考えます。(住む場所の)震度階級を見ていただいて『低いから安心』ではなくて、最大の揺れに備える心構えを持っていただくことが大事。京都市でもそれを今後はお伝えしていく必要があるのかなと思っています」
「もしもの時は自分が守らないと」住民主体の防災訓練を行う地区も
花折断層の地震で震度6強が想定されている右京区の西京極地区。毎年、地域の住民が主体となって防災訓練を欠かさず行っています。 (参加者)「子どもがいるので『もしもの時は自分が守らないと』思うのと、地域のために何かあった時は助け合いだと思って参加しました」 (参加者)「いずれ大きな地震が起きる可能性が高いと常日ごろ言われていますので、防災・予防をしていかないといけないと思います」 京都の地下で息をひそめる活断層。いつか来るその時に備えるため、的確にリスクを伝える必要があるのではないでしょうか。 (2024年9月4日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)