企業が求める人材が大きく変化している…!「問題を解決できる」だけではいけない、驚きの理由
「見えていないものを見る力」は武器になる
問題発見力がある人は、ビジネスにおいてはもちろん、人間関係やプライベートにおける悩みの解決や理想の実現に向けて、「何をどうしていけばいいのか」を自分自身で見つけられるようになります。 私は現在、大手・有名企業のマーケティングや経営企画部門の方々とともに、生活者研究やユーザーインサイトの導出、コンセプトの開発も行なっています。ユーザーインサイトとは、ユーザーの行動の裏側にあるユーザー自身も気づいていない潜在的な気持ちを理解することです。 つまり、「目に見えていない問題を発見する仕事をしている」と言えます。そのような仕事で活用している問題発見の技術は、一度身につけると、仕事、ビジネスはもちろん、あらゆる場面で応用が可能です。 問題発見力は、物事の本質や潜在ニーズをあぶり出し、真の問題を発見していく力でもあります。また、問題発見の過程では、言語化力や文章表現力などの「伝える力」、物事の本質に迫る「考える力」や「洞察力」も磨かれていきます。ぜひ、問題発見に意識を向け、その力を鍛えていきましょう。
差がつきにくい「問題解決力」、希少化する「問題発見力」
先にも触れましたが、少し前までは、問題を解決できるスキルを持つ人材が重宝されていました。しかし、今まで必要とされていた問題解決力は、ここ数年であっという間に価値を下げました。 コロナ禍を契機に企業のオンライン学習が浸透。社員の方々の知識もスキルも格段に上がりました。新入社員の人たちも就活段階でさまざまな教育経験を経て、誰もがそれなりの能力を身につけてから入社してくるようになりました。 また、ITの発達で、大量の情報・知識・ノウハウを誰もが簡単に手にすることができるようになり、さらに生成AIの登場で、個別具体の答えを得ることも飛躍的に容易になってきています。 つまり、問題解決策を導く力は差がつきにくくなったと言えます。当然、問題解決型の人材の価値は下がります。 そのいっぽう、重宝されるようになったのが、「問題を発見する人」です。表向きにはまだ問題視されていない「何か」を見つけることは、表層的なものに隠れている本質に気づく力があることを意味します。 まだ誰にも問題と認識されていない問題に気づき、それを表現していくことは、企業活動においては市場に対する新しい価値を創造・提供することにほかなりません。そして、その価値や機会に合った新商品やサービス、解決策の実現が、他との差別化を生み、顧客や社会からの評価につながります。 実は、こうしたことは私たち個人に対しても当てはまります。 本来、自分には無縁で不必要な情報までもが玉石混交状態で押し寄せてくる毎日。そのような状態にあっては、頭をクリアにし、自分自身にとっての真の問題への感度を高めることで、「そこにあるけれど見えていない問題」に気づけるようになります。 仕事ではもちろんのこと、プライベートにおいても問題発見力が重視され、求められるようになってきたのです。