輸出規制の中国産ガリウム化合物、量産相当量が韓・台に入着。日本向けは依然不透明
量産相当量のガリウム化合物が昨年12月下旬にかけて中国から韓国と台湾に入着したことがわかった。中国が半導体などで使用されるレアメタルのガリウムとゲルマニウム、その関連品目に対して輸出規制を実施して以降、わずかにとどまっていた荷動きに変化が生じたこととなる。対日輸出への不透明感は強いままだが、市場では今回の輸出をきっかけにガリウム化合物については期待する声が出てきた。 中国から量産相当量の輸出が確認された品目は酸化ガリウム(Ga2O3)とガリウムヒ素(GaAs)の二つ。ガリウムなどレアメタルを扱う半導体関連商社ウイング(東京都港区)によると、酸化ガリウムは韓国向けに数トン規模、ガリウムヒ素が台湾向けに数十万枚規模で入着したという。現地需要家は規制から約半年経過し、ようやく原料補充にめどが付いた形。 一方で日本の入着量は少量で、試作で使用する程度の規模にとどまっている。輸出規制は日米へのけん制目的で、その影響で遅れている可能性があるとの見方もされる。また、第三国を経由して日本に輸入することも難しい。実需より購入量が多いと中国の審査で超過分が落とされてしまうためだ。 この環境下、ウイングの尉遅若旭氏は「日本の需要家も在庫に不安が生じているものの、今は待つしかない状況。ただ韓国・台湾など日本域外には輸出されたことがわかったため、化合物については日本向けもそろそろ動き始めることを期待したい」と語った。 中国によるガリウムとゲルマニウム、その関連品目に対する輸出規制は昨年8月に始まった。当初は、適正な輸出許可手続きを行えば、申請から最短45日で輸出されるとみられていた。しかし実態は、年明け後も具体的な納期は見通すことができないままとなっている。