「懐かしい」と感じることで幸せホルモンが分泌…認知症のリハビリにもなる「回想法」とは? 年末年始は帰省先でぜひ老親と昔話を
いい写真はプリントして渡す
デジタルが普及してから、写真はスマホやパソコンで見るものになってしまいました。しかし、親は、紙焼き写真になじんでいる世代。スマホなどに保存された写真は、整理の仕方がよくわからず、その場でさっと見るだけ、という人も多いよう。 ですので、親がきれいに写っていたり、家族や友人と楽しそうにしているショットは、プリントして渡してあげましょう。手元にあればいつでも見られて、そのときのことを振り返ることができます。 一緒に写真の整理をし、アルバム作りも手伝ってあげるといいでしょう。 よく結婚披露宴や葬儀で、その人の人生アルバムをスライドで見せますが、あんな感じで、親の人生の軌跡がわかるように、一冊のフォトブックにまとめるのも一案。誕生日などの折にプレゼントするのもいいでしょう。 縁起が悪いと思われるかもしれませんが、遺影の準備も。特に女性は「きれいな写真を遺影に」という思いがあります。
親の昔話を聞く
子どもは自分が生まれる前の親の姿を知りません。親が亡くなったあと、「親の若い頃の話を、もっと本人に聞いておけばよかった」と悔やむ声をよく耳にします。自分のルーツを知りたいという思いは誰にでもあるもの。それを早速、実行しましょう。 親にとっては、子どもが自分に興味を持って耳を傾けてくれるのはうれしいことですし、前述したように、昔に思いを巡らせることは、脳を活性化させ、心身によい影響を及ぼします。 「お母さん、子どもの頃、何が得意だったの?国語?音楽?」「お父さん、高校時代は野球部で、女子にモテたってホント?」と自分が興味あることや、親が喜んで答えそうなことを質問して話を引き出してみてください。 両親の出会いや、昔の恋愛についても話を向けると、親は当時に戻って華やいだ気持ちになるかもしれません。 「お父さんとどこで出会ったの?どこがよかったの?」と。本人(父)がいると照れて言えなかったりするので、母親一人のときに聞いてみましょう。 父親に「独身の頃、どんな人とつき合っていたの?」なんて過去の恋愛を探ってみてもいいかも。「そんなこと言えるか」と苦笑いされるだけかもしれませんが、こうした質問を重ねることで、今まで聞いたこともないような話が飛び出し、自分が知らない親の一面に触れることができます。 思い出の地を一緒に訪れるのもおすすめ。たとえば、親の実家や、親が新婚時代を過ごした場所。そこで懐かしい人々と会って話せば、さらに記憶が次々と呼び覚まされます。 もう実家や新婚時代の建物がなければ周辺を歩くだけでも、親は「新婚の頃、よくふたりでこの神社にお参りに来たわ」と当時の様子をリアルに思い出すはず。そういう話を聞けるのは子の幸せでもあります。 ただし、親に昔話を聞くとき、決して無理強いしないように心がけてください。質問をして「もう忘れた」「今更、言えるか」などと口をつぐんだら、それ以上は踏み込まない。言いたくないこと、思い出したくない過去もありますから。 イラスト/書籍『親への小さな恩返し100リスト』より 写真/shutterstock