<独自>万博海外館が間に合うパッケージ「タイプウッド」提供へ 木材連 ワンストップ支援
2025年大阪・関西万博で10カ国以上がパビリオンの建設業者を見つけられていない問題で、大阪府木材連合会(大阪市)が海外政府向けに、来年4月の開幕までのパビリオン完成を可能とするパッケージプラン「タイプ・ウッド」をまとめたことが18日、分かった。設計や申請業務、建設を連合会がワンストップでサポート。既存の住宅向け建設技術や部材を活用し迅速な工事につなげる。連合会は「各国は決してあきらめず、万博から撤退などしないでほしい」と訴えている。 【写真】大阪府木材連合会の津田潮会長 連合会の津田潮会長が産経新聞のインタビューに明らかにした。今後、各国にどう働きかけるかを検討する。 連合会には大阪府内の木材業者や建設業者約250社が加入。人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)の万博会場でのパビリオン建設にも一部携わっている。 万博を巡っては、当初60カ国が自前で設計・建設する「タイプA」の出展を目指していたが、資材費高騰や準備遅れで多くの国がタイプを変更したり撤退を余儀なくされたりしている。13日現在、12カ国が建設業者を見つけられない状態が続いている。 連合会が提案するタイプ・ウッドは「2×4(ツーバイフォー)」など国内の住宅で使われている建設工法と、スギやヒノキなど市場に一般的に流通する木材を使用。クロスやエアコンなどの内装資材も、住宅用のものを使うため調達が容易だ。 連合会で基本的な5種類の設計を用意。大阪府建築士会とも連携し、「可能な限り各国の要望に応える」(津田氏)とする。独自設計のため、海外館の種類ではタイプAに位置付けられる。 木材での建築物は、鉄骨と比べ重さが5分の1程度。地中深くまで基礎部分の工事をしなくても十分な耐震性や耐風性が確保でき、地盤が軟弱な夢洲でも建設が容易だ。本体の主要部分の建設コストは1平方メートル当たり50万円程度で済む見通しで、350平方メートルのものなら2億円弱でできる。鉄骨造りのパビリオンより割安となる。 日本国際博覧会協会は、10月中旬までに重機を使った本体や外装の完成を求めているが「十分達成できる」。大阪市への仮設建築物許可申請なども支援する。(黒川信雄)