英中銀、今後の追加利下げは「新たな大混乱」ないことが条件-ピル氏
(ブルームバーグ): イングランド銀行(英中央銀行)のチーフエコノミストを務めるヒュー・ピル氏は、将来の利下げは英国経済が「新たな大混乱」を回避できるかにかかっていると述べた。トランプ前米大統領の大統領選勝利で、世界的な貿易戦争の脅威が生じている。
ピル氏は8日、物価上昇圧力の後退が続けば、英中銀は金融政策の追加緩和が可能だと発言。ただし、国内外で激動が続いた最近の展開を踏まえ、英中銀が軌道修正を強いられる恐れのある「大きな混乱の種は数多い」と警告した。
「われわれにとって重要なインフレ見通しを含め、英国の景気動向に極めて大きな影響を及ぼす」衝撃が起こり得るとピル氏はオンラインで指摘。「速やかな対応が必要になる事態が生じるかもしれない。金融市場の混乱などは、その良い例だと思う」と語った。
英中銀は7日、今年2回目の利下げを発表したが、不透明性が高まっていることもあり先行きでは慎重なアプローチを取ると示唆し、利下げサイクルは「緩やか」になると強調した。インフレを招くと見込まれる英政府の予算やトランプ氏の返り咲きは、英中銀の政策軌道を乱す恐れがあると市場ではみられている。
ピル氏は金利見通しについて、「英経済に規模の大きい新たな混乱が何も起こらないかに左右される。大きな混乱の種は数多くある」と述べた。英国は「小さく、開かれた経済」であるために世界的な衝撃が生じる際の影響を受けやすく、追加利下げに関する英中銀のガイダンスは「条件付き」だと警告した。
原題:BOE’s Pill Says Rate Cuts Hinge on No New Shocks After Trump Win(抜粋)
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Tom Rees, Irina Anghel