コンテナふ頭やモノレール基地見学…「人工島」巡るツアー人気、定員の20倍超の応募
ツアー後、参加者に行ったアンケートでは、「大変満足」「満足」を合わせた回答が9割を超えたという。
民間への橋渡し
観光協会は過去、祭りなどイベントに合わせたツアーを開催してきたが、ゼロから企画したのは今回が初めて。旅行会社でなく、観光協会がツアーを企画する理由について、同協会は「民間の旅行会社への橋渡し」と考えている。
近場の埋もれた観光スポットを訪ねる旅行は、「マイクロツーリズム」と呼ばれる。著名な観光地を巡るツアーに比べて参加者が集まるか見通せない場合も多く、民間は及び腰になりがちだ。地域の事情に明るい観光協会が実施してニーズを掘り起こしていくことで、民間の参入を促す狙いがあるという。
同協会では人工島ツアーの次回開催も検討している。飯嶋清市事務局長は「人工島が持つ観光面の魅力を色々な切り口で捉えたツアーを今後も企画したい。こうしたツアーが旅行会社にも広がり、地域経済の活性化につながれば」と期待した。
近場観光、コロナ経て定着
移動が制限されたコロナ禍を経て、新たな旅行のスタイルとして広まった「マイクロツーリズム」。地域の魅力向上につなげようと、各地の自治体や観光協会が、地元密着のツアーを企画している。
渋谷区観光協会は、タクシーの相乗り事業を展開する「ニアミー」(中央区)と共同で、区内の公共トイレ「THE TOKYO TOILET」を巡るツアーを今年3月に始めた。建築家らが設計・デザインを手がけた独創的な公共トイレを巡る少人数ツアーで、8~9か所のトイレを見学しながら、街の景観などを楽しんでもらう企画だ。
参加者の半数は外国人だといい、同協会は「世界に唯一のトイレは渋谷の大切な観光資源。渋谷を感じ、楽しんでもらえる観光ツアーだ」とアピールする。
港区観光協会は9月、小型船を使った「モーニングクルーズ」を初めて開催した。JR田町駅近くの船着き場を午前8時に出発し、約45分かけて芝浦運河や東京湾を巡った。
主なターゲットは通勤客だ。普段、通勤で見慣れた街を水面(みなも)から見上げることで、街の新たな魅力に気づいてもらったり、水辺の価値を見いだしてもらったりする狙いがあるという。茂木春良・事務局長は「今後も時間や趣旨を変えながら、水辺を生かしたツアーを開催していきたい」と話す。