コンテナふ頭やモノレール基地見学…「人工島」巡るツアー人気、定員の20倍超の応募
東京湾の埋め立てで誕生した東京都大田区内の「人工島」を巡るバスツアーを大田観光協会が主催したところ、定員の20倍を超える申し込みがあった。5年前に区の帰属となって名称が付けられた「令和島」のコンテナふ頭など、一風変わったスポットを巡るツアーで、同協会は地域の魅力発掘につながるとして今後、定期開催を検討している。(西村魁)
地元の魅力
ツアー客を乗せた貸し切りバスが海底トンネルを抜けると、視界が一気に開け、海の香りが車内に舞い込んできた。
中央防波堤埋立地の一角にある令和島。鉄道も路線バスも通らず、普段は輸送業者が行き来するだけの人工島に、参加者は約10分間「上陸」し、大型のガントリークレーンや、羽田空港を目指して下降する航空機を写真に収めるなどして楽しんでいた。
「7つの島をめぐる旅」と銘打ったツアーでは、令和島のほか、城南島、京浜島、平和島、昭和島、東海地域、羽田空港といった人工島・埋め立て地を訪問。昭和島にある東京モノレールの車両基地を見学したり、大量消費社会を象徴するゴミをテーマにした現代美術家・三島喜美代さんの立体作品が並ぶ「ART FACTORY 城南島」を見学したりした。
夫婦で参加した同区の男性(75)は「大量のコンテナ群など、普段見られない地元の魅力に触れることができて良かった」と笑顔を浮かべた。神戸市から訪れた男性(56)も「一度に多くの人工島を成り立ちの説明を聞きながら巡れる良い機会だと感じた」と満喫した様子だった。
9割超が満足
ツアーは9月20日に開催された。東京港の機能強化や廃棄物の最終処分などのために、多くの人工島が造成されてきた大田区。区面積の約3分の1にも達する埋め立て地を観光資源に生かせないかと、観光協会が企画した。
7月に募集したところ、27人の定員に対し、全国から588人が応募し、抽選倍率は21・7倍に上った。同協会によると、応募理由には「令和島や車両基地など、普段なかなか行けない場所に行ける」が多くを占めたという。