余部鉄橋事故から38年…遺族や鉄道関係者らが追悼「事故を語り継ぎたい」
旧国鉄山陰線の余部鉄橋から回送列車が転落し、6人が亡くなった事故から38年となった28日、遺族や鉄道関係者らが事故現場の兵庫県香美町香住区余部に立つ慰霊碑を訪れ、犠牲者を追悼した。
1986年12月28日午後1時25分頃、強風にあおられた回送中のお座敷列車が高さ約41メートルの鉄橋から転落。カニ加工場などを直撃し、従業員5人と車掌の計6人が亡くなった。鉄橋は2010年にコンクリート橋に架け替えられたが、橋脚の一部は現地保存されている。
この日は発生時刻に合わせてJR西日本労働組合の組合員やOBら約20人が慰霊碑の観音 菩薩(ぼさつ) 像に花と線香を手向けて黙とうした。参列した同組合中央本部の前川誠・執行委員長は「運行優先の姿勢が事故を招いた。事故現場に来ることで、改めて安全確保への思いを強くした」と語った。
また、昼過ぎには事故で死亡した車掌(当時54歳)の遺族らも訪れ、慰霊碑に手を合わせた。親族の1人は「毎年この日はここに来るようにしている。年月がたっても、できる限り事故を語り継いでいきたい」と話していた。