「学校で暴れるわが子」を見た母親にかけた“言葉” 「にんじん嫌い」は子どものわがままじゃない?
特別支援学級の対象となる子どももそうでない子どもも、すべての子どもがともに学べる学校、大阪市立大空小学校の初代校長の木村泰子先生。 そんな木村先生の、「自分を支える何か」がほしいすべての人に向けたメッセージが詰まった本『お母さんを支える言葉』より一部抜粋し、3回に渡って掲載します。 第3回は、子どもが自分の気持ちを発散することができる場所についてです。 ■大根いやだー、しいたけ嫌いー 「せっかく用意した夕ごはんのみそ汁をひとめ見て、『うぇー、なんでこんなん入ってんの? 大根いやだー。しいたけ嫌いー』と、子どもたちが渋い顔。その瞬間、『そんなこと言うなら、食べなくていい!』と、ブチ切れてしまいました」
保育園児と小学校低学年の娘2人のお母さんが、溜め息混じりに話してくれたことです。 このお母さんがブチ切れてしまう気持ち、よくわかりますよ。 1日の仕事を終えて、子どもたちを迎えに行き、買い物も済ませ、休む間もなく夕ごはんの準備にとりかかり、食卓を整えて、ようやく「いただきます」。 その途端、子どもたちからせっかく準備したごはんにケチをつけられたら、そりゃあ、堪忍袋の緒も切れるでしょう。 頭ではわかっていますよね。嫌いな食べ物を無理強いできないことも、そして、好き嫌いは仕方がないということも。
■わがままなのは、母親のほう? このお母さんの気持ちを代弁するとね、たぶんこういうことなんです。 「仕事が忙しい。そして、こんなに忙しいのに手を抜かず子どものために夕食をこしらえている。栄養バランスも少しは考えて野菜だって入れている。なのに、なんで子どもたちは文句ばっかり、わがままばっかり……」 ここでちょっと冷静に考えてみましょう。 子どもの「うぇー、なんでこんなん入ってんの? 大根いやだー」は、わがままじゃないです。「嫌いなものを嫌い」って言ってるだけ。その子の素直な言葉なんです。