パワーエックス、11月から急速充電の有料会員サービス 1kW時あたり45円から
蓄電池や急速充電器を手掛けるパワーエックス(伊藤正裕社長、東京都港区)は17日、会費制の急速充電サービス「パワーエックス・ファースト」を11月18日に始めると発表した。最大の目玉が料金で、月会費が900円かつ、充電量に応じて課金する1㌔ワット時当たり45円からという従量制料金だ。競合他社のサービスでは、月会費が4千円程度で、時間制料金が目立つ。時間制の場合は充電器の性能などによって、実際に充電される量と支払い額に差が出ることもあり、課題の一つになっていた。 同社の充電施設「チャージステーション」の急速充電器の出力は最大150㌔㍗。電気自動車(EV)への充電時間は30分以内で済み、「現時点では国内最速級」(同社)という。現在、施設は都市部を中心に全国25カ所あるが、2024年度内に80カ所に、25年中には300カ所に増やす計画だ。 会員制のサービスでは、充電料金は従量制になっている。22年4月施行の改正電気事業法で導入しやすくなった従量制料金とした。最安値の「エコノミー」は1㌔ワット時当たり45円。再生可能エネルギーを7割使っている「レギュラー」が同50円、すべて再エネの「プレミアム」は同55円となっている。会員以外の利用も可能だが、同65~75円とやや割高に設定した。 同社では自社で持つ施設での充電を無料にし、利用者の声を集めてきた。その結果、高めの月会費や時間単位での課金についての不満があったという。「買い物していると充電時間が足りない」という指摘もあった。新サービスではそれらを反映し、料金体系に加えて充電時間を最大75分としたほか、3日前からの予約も可能とするなど、利便性を高めた。 主要他社より安いサービスが実現できた背景について伊藤正裕社長は、「稼働率がよい場所に厳選して充電設備を作っているから」と説明。また、自社製の設備を使えることや、電池の原材料価格などが低下してこともコスト削減につながっているという。無料試験中に使ったメンバーが数千人いるが、伊藤社長は「そのメンバーがみんな会員になってくれれば、すぐ単年度で黒字化できる」と、採算面の見通しも示している。