【背中で手が組める?】できない人必見!腕を後ろに回しやすくする思うだけでOKのお手軽イメージ術
何かをしようとちょっと意気込むだけでも、それが緊張となって体を力ませ、痛みや違和感に繋がることがあります。このシリーズでは、そんな無意識に入ってしまう緊張が動作にどのような影響を与えるのかを探究しているアレクサンダーテクニークの実践者が、体にまつわる「負」とその根底にある思い込みについて、解剖学的な視点を交えて考察し、思考から動作を変える方法を提案します。38回目のテーマは「背中で手が組めない」です。 〈写真〉腕を後ろに回しやすくする思うだけでOKのお手軽イメージ術 ■後ろに手を回そうと頑張ると逆に背中で組みにくくなる ヨガでは後ろに手を回すという機会が何度もあります。中には背中で合掌するという高度なポーズもありますが、そこまでしなくても両手を後ろに回して互いの肘を持つとか、背中で握手をするといったことで肩周りの柔軟性を深めるエクササイズはよく見かけるものですよね。そのときに「背中で手が組めない」「後ろに手を回しにくい」と感じている人は多いのではないでしょうか。 ひょっとしたら、後ろに手を回すために「腕を背中側に持ってこよう」と頑張る思考そのものが、逆に肩周りを動かしにくい状態に追い込んでいるのかもしれません。 ■肩甲骨を寄せて固定し、背中や肩の可動性を制限する 「腕を背中側に持ってこよう」として腕の位置にばかり執着していると、自然と胸を張って肩甲骨を背中の中央に寄せたくなるものです。一般的に、腕は肩から先だと捉えられがちですが、腕は肩甲骨を通して胴体と繋がっているので、肩甲骨が胴体に対してどれだけ自由に動けるかが、手を背中に回せるかの大きなポイントとなります。 それなのに肩甲骨を背中の中央に寄せた状態でセットしてしまうと、背中や肩周りの可動性が制限されたなかで無理に後ろに手を回すことになります。その結果、思うように背中で手が組めなくなってしまうのです。 ■背中で手を組みやすくする新しい考え方 それでは後ろに手を回しやすくするために、次のことを実践してみてください。 1. 肩甲骨とその周辺の構造を確認する 私たちの胴体の半分は、肋骨などによって鳥カゴのように覆われています(胸郭)。そして肩甲骨は胸郭の上部に位置していますが、肋骨に直接付着しているわけではなく、肋骨に沿うようにして浮いた状態にあります。 2.「肋骨は1本1本が自由に動ける」と思う 肋骨は左右合わせて24本もの骨があり、1本1本が自由に動ける構造となっています。普段はほとんど意識せずに、肋骨を胸郭というひとつのまとまりとして捉えて固めがちなので、敢えて肋骨1本1本が自由に動けると意識してみます。 3.「肩甲骨は肋骨の周囲を滑るように動く」と思う 肩甲骨の動きは肋骨の上を浮遊するイメージです。上述の通り、肩甲骨は胸郭の周りに沿うようにあり、浮いています。そして動くときには肋骨の周囲を滑るように動きます。しかも、上にも下にも、外にも内にも、様々な方向に動けます。 以上を踏まえて腕を動かしましょう。 このように、腕を胴体に繋げている肩甲骨や胴体を構成している肋骨という土台が自由だとイメージすると、動作もそれに合わせて変化します。腕そのものより土台の動きに着目することによって、肩甲骨を含む腕全体の可動性が大きくなることでしょう。 ライター/ホタカミア ライター、グラフィックデザイナーとして会社と自宅の往復に追われる中、ヨガと出会う。また、30代後半から膠原病であるシェーングレン症候群と咳喘息に悩まされ、病と共に生きる術を模索するようになる。現在は、効率的な身体の使い方を探求するアレクサンダーテクニークを学びながら、その考えに基づいたヨガや生き方についての情報を発信中。解剖学にはまり、解剖学学習帳「解動学ノート」の企画・制作も行う。
ホタカミア