メルセデス・ベンツEQS 詳細データテスト 望外の操縦性 SUVよりMPV的 シートの操作に不満
キックダウン加速
20-40mph(32-64km/h):1.6秒 30-50(48-80):2.0秒 40-60(64-97):2.6秒 50-70(80-113):3.2秒 60-80(97-129):3.9秒 70-90(113-145):4.6秒 80-100(129-161):5.5秒 90-110(145-177):6.5秒 100-120(161-193):7.9秒 110-130(177-209):12.2秒
制動距離
テスト条件:乾燥路面/気温8℃ 30-0マイル/時(48km/h):8.1m 50-0マイル/時(80km/h):22.3m 70-0マイル/時(113km/h):45.3m 60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.41秒 ■ライバルの制動距離 キアEV9 GTラインS(2024年) テスト条件:湿潤路面/気温12℃ 30-0マイル/時(48km/h):9.0m 50-0マイル/時(80km/h):25.9m 70-0マイル/時(113km/h):52.1m
結論 ★★★★★★★☆☆☆
メルセデス・ベンツのラインナップにおいて、EQS SUVがどのような役割を担うのか。その疑問にたいする明確な答えは、今のところまだ提示できない。いかにもSUV購入者が好みそうなたくましいオフローダー的なルックスは持ち合わせていないし、ファミリーカーとしてはあまりにも高価で、しかもバーサタイルさにも不満が残る。 ネーミングは、Sクラス級の電動SUVを示唆している。しかし、このクルマを見ていると、かつてのRクラスがEVとしてよみがったように思えてくる。 2006年に登場し、販売面では苦戦した高級MPVのRクラスと同様に、EQS SUVもクオリティは申し分ないところが数多く挙げられる。ドライブトレインはすばらしく、シャシーのテクノロジーは重すぎるウェイトをみごとなまでに手懐けている。 デジタル化の問題も比較的うまく解消している。また、良好な遮音性とエルゴのミックなシートが、ゆったりとした移動を可能にしてくれる。 超高価で超高級な7シーター電動SUV、という特異なカテゴリーを提案したEQS SUV。だが、少なくともRクラスにノーを突きつけた英国市場に、こうしたクルマを望むユーザーはそう多くなさそうだ。 ■担当テスターのアドバイス ◆イリヤ・バプラート このEQS SUVをテストした直後、BMW X6に乗った。X6のほうが小さいクルマなのだが、取り回しではまるでオイルタンカーを操縦しているように感じられた。 ◆マット・ソーンダース 白いインテリアの軽やかさは好みだが、豪華なファミリーカーとして使うなら、黒いレザーのAMGライン・プレミアムプラスを選びたくなるだろう。白いカーペットなんて、掃除が行き届いた駐車場だけを利用して、雨や雪の中を走らないのでなければとても選べない。 ■オプション追加のアドバイス 580を検討する必要はない。450で十分に速い。ホワイトインテリアとマッサージ機能が必要ならビジネスクラスを選ぶほかないが、価格は高く、付随するエンターテインメントパッケージに金額に見合う価値はない。 ■改善してほしいポイント ・シートのフォールドやスライドをもっと速く、簡単で直感的にできるようにしてほしい。あと、荷室カバーの収納場所があるとうれしい。 ・低速域でのセカンダリーライドは改善を。 ・画面の角度は見直しを。また、補助ディスプレイにはもっとツールを加えて、iPadと勝負できるものにしてもらいたい。
イリヤ・バプラート(執筆) マット・ソーンダース(執筆) ジャック・ハリソン(撮影) 関耕一郎(翻訳)