万博の期間中、大阪メトロの駅員・整備士ら60人がバス運転…苦肉の策で大型2種免許を取得
2025年大阪・関西万博に向け、大阪メトロは、社員約60人に大型2種免許を取得させ、会期中に会場の人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)などで運行するバスの運転手として、子会社の大阪シティバスに出向させる。全国的に不足する運転手の確保への苦肉の策で、免許取得の費用は大阪メトロが負担し、教習時間は業務中とみなす。(福永健人)
大阪メトロによると、出向するのは、既に大型2種免許を持っている社員も合わせ、計約100人の予定という。会場内を巡るバスのほか、会場と舞洲(まいしま)に設けられる駐車場を結ぶシャトルバスの運転を担当する。二つの路線には約300人の運転手が必要で、現在、大阪シティバスに在籍している運転手と大阪メトロが万博に向けて新規採用する運転手に、新たに免許を取る出向者らを加えて賄う。
今年4月に行った社内公募には、駅員や鉄道車両の整備士、事務職員らの応募があった。免許取得に必要な教習費用約50万円は大阪メトロが負担し、1~4か月の教習所に通う期間中は業務と両立できるよう配慮する。同社によると、既に約2割の社員が取得したという。
出向は会期中限定で、出向期間は必要な運転手の数に応じて決める。大阪メトロの担当者は「大型車両の運転手不足が全国的な問題となっている中で、全社を挙げて万博に協力するため、社内でも運転手を養成することにした。社員のリスキリングにもつながれば」と話している。
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バス運転手不足の問題については、国などもバス会社の社員の大型2種免許取得を支援するなど対応に乗り出している。
国土交通省は23年度に補助金制度を導入し、同年度は社員が新たに取得した505社に補助金を支給した。
業界団体の日本バス協会(東京)は、新規免許取得者1人につき5万円を加盟社に独自に助成。昨年度は786人分を支給した。同協会によると、助成対象者は年々増えており、今年度は900人を超える見込みだという。
同協会の担当者は「運転手の養成は費用と時間がかかり、各社の高いハードルになっている。助成が、少しでも人材確保につながれば」と話している。