急速な円安「憂慮」、行き過ぎた動きに対応-通貨当局からけん制相次ぐ
(ブルームバーグ): 外国為替市場で円安が進んだ20日、日本の通貨当局から円安けん制発言が相次いだ。発言を受けた市場では円安が一服している。
加藤勝信財務相は同日午前の閣議後会見で、「足元では一方的、また急激な動きが見られる」と指摘。「投機的な動向も含め為替動向を憂慮しており、行き過ぎた動きに対しては適切な対応を取る」と述べた。
19日の円相場は海外時間に一時1ドル=157円81銭と、7月以来の安値を更新した。米国の利下げペース鈍化見通しを受けてドル買い・円売り圧力が強まる中、日本銀行の植田和男総裁が金融政策の現状維持を決めた同日の会合後の会見で利上げに慎重なハト派姿勢を示し、円売りに拍車がかかった。日銀の結果発表前からは3円程度急速に円安が進んでおり、日本の通貨当局者の発言に注目が集まっていた。
20日午後には三村淳財務官が記者団に対し、投機的な動きも含めて「為替の動きを憂慮している。行き過ぎた動きには適切な対応を取りたいと思っている」と、急速な円安進行について警戒感を示した。警戒度合いが上がったのかとの質問に対しては、「いま申し上げた通りです」と述べるにとどめた。
東京市場では朝方157円台後半で推移していたが、加藤財務相や三村財務官の発言を受けて円安のさらなる進行に歯止めがかかった。足元では157円10銭付近で推移している。
植田総裁は19日の会見で、利上げを見送った理由の一つとして、賃金と物価の好循環の強まりの確認には来年の春闘に向けたモメンタムなど「今後の賃金の動向についてもう少し情報が必要」と説明。米国はじめ海外経済の先行きは引き続き不透明とし、「米国の次期政権の経済政策を巡る不確実性が大きく、その影響を見極める必要もある」とも述べた。
(c)2024 Bloomberg L.P.
Takashi Umekawa, Erica Yokoyama