被団協、核禁止条約オブザーバー参加求める…石破首相と面会
石破首相は8日、ノーベル平和賞を受賞した被爆者団体の全国組織「日本原水爆被害者団体協議会(被団協)」の田中熙巳(てるみ)代表委員らと首相官邸で面会した。被団協側から、3月に米国で開かれる核兵器禁止条約の締約国会議に日本政府もオブザーバー参加するよう求められたが、首相は明確に答えなかった。
記者団に公開された面会の冒頭で、首相は「長年にわたり被爆の実相を世界に発信して大変な栄誉を受けたことは極めて意義深い」と祝意を伝えた。出席者によると、首相はその後、オブザーバー参加を要請されたが、「核のない世界を作るゴールは一緒だ。どういう道筋をとれるか、少しでも一致点を見いだしたい」と述べるにとどめたという。
約30分間の面会後、田中さんは「首相の独壇場で反論する時間は設けられず、収穫ある面会ではなかった」と記者団に語り、首相との面会を改めて求める考えを示した。
政府はオブザーバー参加に慎重な立場で、林官房長官は8日の記者会見で「他の参加国の状況も踏まえながら、現実的で実践的な取り組みとして、いかなる対応が適当か予断なく検証している」と説明した。