ダイハツ・タント「ファンクロス」と「通常タント」の明確な違い【試乗記】
● タントの個性派 “自由空間ワゴン”と呼ぶのがピッタリ ファンクロスは、Kスーパーハイトワゴンの先駆となったタントの個性派。アウトドアテーストを高めたアクティブモデルである。外観は、専用フロントグリルと前後バンパー、ルーフレールで力強い印象を強調。内装は撥水加工シートやラゲッジルームランプ/USBソケットで利便性を高めている。 【ダイハツ・タント ファンクロスの写真はこちら】 試乗車はターボのFFモデルだ。スタイリングは“適度にワイルド”。遊びグルマらしいイメージを発散する。魅力は圧倒的な開放感。タントの特徴、ミラクルオープンドアを開口すると、室内とフィールドがシームレスにつながる。タントは、“便利なファミリーワゴン”の印象が強いが、ファンクロスは“自由空間ワゴン”と呼ぶのがピッタリ。ドライブ先で、ドアを開けるだけで、自分だけのパーソナルスペースが目の前に広がる。広々とした後席に座ってのコーヒーブレイクは、なかなか楽しそうだ。 とはいえ、ファンクロスのメカニズムは通常タントと共通。最低地上高は150mm(FF)。アウトドア志向とはいえ、本格的なフィールドに出かけるのは適さない。トレッキング感覚で、いつもの公園や、ちょっとしたお出かけを楽しく演出するキャラクターと考えておいたほうが無難だろう。
● 通常のミニバン以上に 夢が広がる存在 ターボの走りは、静かでスムーズ、そしてなかなか速い。64ps/100Nmのパワー/トルクを発揮する直3ターボは、ボクシーなボディをキビキビと走らせる。ベルト+ギア駆動のD-CVTの採用で、加速時にラバーバンド感が少ないのも大きなメリットだ。 静粛性は全般的に優秀。高速クルージング時でもエンジン回転数は低めに保たれ、メカニカルノイズは耳につかない。これなら長距離ドライブに連れ出してもパッセンジャーの疲れは少ないだろう。全車速対応アダプティブクルーズコントロールを含め、安全・運転支援システムが充実しているのもうれしいポイントである。 クルマは、使い込むほど新たな発見があると楽しい。その意味で、ファンクロスは魅力的な存在だ。クルマとしての成り立ちはダイハツの新世代クルマ作りのDNGAを採用するなど信頼感たっぷり。驚くほど広い室内と、両側スライドドアでユーティリティも高水準だ。そのうえで積極的に遊びに出掛けたくなるプラスαを備えている。 後席は荷室側からワンタッチでスライド&格納ができ、ラゲッジボードの工夫でフラット空間を作ることもできる。そして何よりミラクルオープンドアという個性が光る。ファンクロスはユーザーしだいで、楽しさがぐっと広がる。個人的には3列シートが必須でないユーザーなら、通常のミニバン以上に夢が広がる存在だと感じた。 (CAR and DRIVER編集部 報告/横田宏近 写真/小久保昭彦)
CAR and DRIVER