中国、非鉄スクラップ輸入新基準開始。アルミ合金削粉に流出懸念
中国の非鉄スクラップに対する新たな輸入基準がきょう1日から始まる。変更の対象となるのは銅、黄銅含む銅合金、アルミ。銅と銅合金は分類の統廃合が中心で影響は限定的とみられる。一方、アルミは合金削粉に相当する区分を新設し、輸入可能な品目を増やした。合金削粉の主要需要家である二次合金メーカーや問屋など扱い筋からは中国への流出による需給タイト化、それに伴う市中相場の値上がりを懸念する声が聞かれる。 アルミスクラップの新たな区分は各種アルミ二次合金の「再生アルミ地金」、ホイールやサッシなどを含む「アルミブロック」、削粉の「粉」の3種類となった。「粉」の新設に伴い異物許容値の上限を緩和。異物許容値は、従来は切削油を含む油水分は1%以下と定められていたが、2・5%以下となった。 需要家や商社はアルミスクラップの改定に対してともに「買いを強める意思表示ではないか」と口にする。カーボンニュートラル実現に向け再生原料の重要性は高まっており、グリーン化への対応として「輸出しても釣り合う価格が中国需要家から提示される可能性はある」(商社筋)との声が聞かれる。 二次合金メーカーは仕入れ値高のほか「圧縮して固められたブリケットの状態で保管されることが増えるのではないか」と懸念を示した。「合金削粉と同様の用途で使うためには一度ばらす必要がある。加工工数がかかるので使いにくいものとなってしまう」という。 銅・銅合金スクラップの変更は主に銅合金の区分。これまで黄銅だけが区分としてあったが、黄銅・青銅・白銅・高銅(銅分の高い銅合金)の4種類に増加。区分が明示されたことで砲金など青銅スクラップの輸出増が見込まれる。 しかし青銅スクラップに対する市中の反応は薄い。「砲金は国内市場においてやや荷余り感が出やすい品種。逆に価格が合った時に選択肢になればいいと考える」(商社筋)。 銅・銅合金の区分変更は中国側も大きな影響はないと捉えているようで、中国と取引する商社筋は「12月に向けて中国の需要家から注意喚起などはなかった」と述べた。