お酒を飲んだ翌日に襲われる不安「ハングザイエティ」、なぜ起こる? 防ぐ方法は
間接的な影響も
このほかにも、いくつかの生物学的プロセスが、飲酒後の不安を間接的に引き起している可能性がある。 そのうちのひとつは、体からアルコールを取り除く2段階のプロセスだ。アルコールはまず肝臓で代謝され、アセトアルデヒドに変えられる。アセトアルデヒドは発がん物質として知られ、多くの細胞とって有毒だが、やがて酢の主成分である酢酸に変えられ、無害な状態で体外に排出される。こうした作用の大部分は肝臓内で起こるが、一部はすい臓、腸、脳内でも行われる。 「一日かけてアセトアルデヒドが排出されるにつれて、体は毒を与えられた状態から回復していきます」とホルト氏は言う。アセトアルデヒドに直接関連している症状には吐き気や疲労感があり、これによってイライラや不安が引き起こされる場合もある。 アルコールはまた、睡眠の質を低下させる。ホルト氏によると、睡眠を促すGABAにアルコールの作用が加わることによって、自然な睡眠サイクルが乱され、夜中に落ち着かない感覚を覚えることがあるという。よく眠れないと、人は翌日に怒りっぽい、あるいはピリピリと張り詰めた気分を覚えることがある。 さらに、アルコールは血糖値を下げるため、それが体にストレスを与えて不安を引き起こすことがあるとキム氏は言う。氏はまた、腸内細菌叢(そう)という要素もあると指摘する。アルコールは腸を刺激し、そこに生息する微生物を変化させることが知られているからだ。 アルコールを毎日またはほぼ毎日飲み、翌日に不安を感じる人では、また別の要因が関与しているかもしれない。特に体の震えを伴う場合には、アルコールの離脱症状に見舞われている可能性がある。「午前中の遅い時間から昼頃になると、彼らは何かが足りないという感覚を覚えます。何かというのは、つまりアルコールのことです」とホルト氏は言う。「そして、このとめどない思考を落ち着かせるためには酒を飲む必要があると、彼らは考えるのです」 また、二日酔いの症状として不安が現れる人は、慢性的に不安が続く「全般性不安障害」を抱えている可能性がある。症状を軽くしようとして自己判断で飲酒すると、不安は覆い隠されるものの、アルコールが体から抜けると根底にある不安が現れるのだ。