お酒を飲んだ翌日に襲われる不安「ハングザイエティ」、なぜ起こる? 防ぐ方法は
二日酔いの民間療法はほぼ効かない
不安を含む二日酔いの症状には、ピクルスの汁やチキンスープを飲むなど、数多くの民間療法があるが、研究によって効果が確かめられたものはひとつもない。唯一、飲酒の最中や後に水を飲むのは、血中のアセトアルデヒド濃度を薄めるため、多少は効果があるかもしれない。 確実に効果のない民間療法は、寝る前に解熱鎮痛薬のアセトアミノフェンを飲むというものだ。アルコールをアセトアルデヒドに変える働きに関わっている肝臓内の酵素は、アセトアミノフェンの代謝にも関わっている。ベッドに入る前にアセトアミノフェンを飲むと、酵素がそちらを代謝する仕事に駆り出されてアルコールの変換が遅くなるとホルト氏は言う。 飲酒後の不安を防ぐ最善策は、言うまでもなく、飲酒を一般に推奨される量に抑えることだ。例えば米政府は、男性は1日2杯以下、女性は1杯以下を推奨している。 ノンアルコール飲料の種類が増えたことにより、社交的な場であっても、酒を飲む量を控える、さらにはまったく飲まない選択肢も受け入れられるようになってきた。アルコールをまったく、あるいはほとんど含まないワインやビールのほか、アルコールに似た口当たりや風味を生むさまざまな材料から作られたカクテルが登場している。 結婚式などの特別な日には、多くの人が飲みすぎてしまうものだが、定期的に飲酒後の不安を経験している人は、アルコールを控えるべき兆候だと受け止めたほうがいいかもしれない。「アルコールのような物質を体内に入れないようにすれば、その分だけ、飲酒の結果に苦しめられる可能性は低くなるのですから」とキム氏は言う。
文=Meryl Davids Landau/訳=北村京子