NHK『大奥』“嫌われ慶喜”の大東駿介「“とにかく嫌な奴に徹してください”とオーダーされて」
『大奥』“とにかく嫌な奴に徹してください”オーダーを受けて
――もうひとつ。ここのところ、特にすごい活躍です。昨年のドラマ『大奥』で演じた徳川慶喜公は本当に強烈でした。 大東:嫌われましたね(笑) ――私は原作ファンでもあるのですが、ドラマも心から素晴らしく、大東さんの慶喜も手放しですごかったです。あまりに普段の大東さんと違っていて、登場したとき、大東さんだと分からない人もいました。 大東:僕にとって初めての朝ドラ出演だった『ウェルかめ』(2009~2010)のディレクター大原拓さんが呼んでくれたんです。 それと『夫婦善哉』(2013)の藤並英樹さんも関わっていて、彼らの気持ちに応えたい、もしくは驚かせたいという気持ちでした。ただよしながふみさんの原作作品ですが、僕は読んでいなかったんです。 ――そうなんですか!? 大東:“とにかく嫌な奴に徹(てっ)してください”というオーダーがあったのと、あとは森下佳子さんの脚本を読み込んで、それで提示したのがあの慶喜でした。
原作通りだと言われて嬉しかった
――結果的に、原作ファンにも受け入れられました。 大東:原作通りだと言われて、すごく嬉しかったです。原作を熟読しているプロデューサー、ディレクターからキーワードをいただいていたからこそですが、そこに脚本から受けたものを自分で膨(ふく)らませていきました。 たとえば眉毛をちょっと薄くしようかなとか、衣裳もけむに巻くような印象が残るように全身グレーにしようかなとか、そういったことが喜んでもらえた。あとで原作を読んだらほんまに同じ顔をしてましたね。
原作に感謝をもって大切に向き合い、喜んで頂きたい
――あとで読まれたんですね。 大東:もちろん原作を熟読していくときもあります。ただ原作をそのままやるだけだと、実写でやる必要性を感じなくなる瞬間があって。 『大奥』のスタッフは、もともと信頼している方々でもあるし、よしなが先生や原作への敬意をしっかり感じたので、あくまで自分としてはですが、大切な作品に触れる以上、真似ではなくそれを解釈して向き合うのがクリエイティブかなと。それで原作ファンや、もっと言うと原作者の方を喜ばせたいというのもあります。 ――原作者の方を喜ばせたい。 大東:原作者の方が、僕のやる慶喜公をどう面白がってくれるだろうかということもすごく考えました。原作者の先生が命を削って作った作品を、誰かに渡すってすごい覚悟だと思うんです。まず感謝をもって、大切に向き合い、喜んで頂きたいとめっちゃ考えます。手渡された分、自分の最大限で見せたいということは、常に思っています。