NHK『大奥』“嫌われ慶喜”の大東駿介「“とにかく嫌な奴に徹してください”とオーダーされて」
子どもから言葉の大切さを教えてもらっている
――言葉の重みも感じますね。 大東:『罪と悪』というタイトルですが、それこそ“ごめん”とか“ありがとう”って、とても大切で、そして難しい言葉だなと思います。まあ、子どもの顔を見てたら、毎日“ありがとう”って思いますけどね。どれだけ疲れていても元気をもらえるし。 こういう仕事をしているとなおさら、子どもと接する時間で、つい親しいからこそ省いてしまいそうな言葉の大切さを、教えてもらえるので、とてもありがたいです。やっぱり“ありがとう”も“ごめん”も、ちゃんと口に出さないとダメですから。 ――実感しますか? 大東:だって子どもに“ちゃんとありがとうって言いなさい”とか、自分が言ってないのに言えないですからね(苦笑)。考えるようになります。ありがたいです。
同じような役なんてない。前田旺志郎の悩みにかつての自分を見た
――お子さんから教えてもらっているとのことですが、以前、前田旺志郎さんにお話を伺ったときに、大東さんから影響を受けたとお話されてました。 「同じような役が続いて悩んでいたとき、大東さんからのアドバイスですごく救われて、それから似ていると思っていたキャラクターたちの見え方が全く変わった」と。大好きな先輩だと。覚えてらっしゃいますか? 大東:もちろん覚えてますよ。俺、影響与えてるんです(笑)。いや、そのとき、旺志郎の気持ちがすごくよく分かったんですよね。僕も学園ものをよくやっていたときに、“主人公の友達”みたいな役が続いたときがあって、まさに旺志郎のように“同じような役が来る”と思ってしまったときがあったんです。 でも“生きている世界も環境も違うのに、それを同じようなと定義しているのは俺だ”と、ひとつひとつの役を深堀りしていって、“同じような役になりようがない”と気づいたんです。自分のスキルの無さを棚にあげて、同じような役ばっかりだと言ったことがすごく恥ずかしくなりました。 そうした自分自身の経験があったので、まさに過去の自分と同じようなことを言っていた旺志郎に話をしたんです。俺も同じだったから。“めっちゃ分かるよ、わかるけど、それは旺志郎のチャレンジになる。同じような役だと思うものを、全く違うものにできたら、それはお前の表現力の幅やから、それを蓄えとして頑張ったらいいんじゃない”って。 ――大東さんは、そのことに自分自身で気づいたんですか? 大東:直接的に誰かに何かを言われたわけじゃないです。でも自発的に生まれたわけじゃなくて、先輩後輩関わらず、その都度、その時代を彩っている俳優なりアーティストさんなりの背中を見てきたからやと思います。 ――先輩後輩関わらず、ですか。 大東:関係ないです。特に今はいろんなもので勉強した若者がたくさん出てきていますし、キャリアなんてあってないようなものだと思います。どこからでも影響は受けたいです。