生成AI、大学教員が知っておくべき10の活用法 教育や研究の質向上に役立てることが重要に
文章・画像・動画・音声生成など生成AIはさまざま
2022年、OpenAI社が「ChatGPT」を公開して以降、さまざまな分野で生成AIの活用が広がっている。多くの企業が多様な生成AIを開発しており、便利な一方で活用には注意すべきことが多くある。ここでは教育における生成 AIの利活用についてまとめたポータルサイト「Manabi AI」(まなびあい)を運営する東京大学・准教授の吉田塁氏に大学教員が知っておくべき生成AIの活用法について解説してもらった。 【写真を見る】「生成AIの特性を理解したうえで、教育や研究活動に活用することで、活動の効率化、質の向上が見込める」と話す吉田氏 生成AIは、教育のあり方を大きく変える可能性を秘めています。 大学教員も、その可能性と課題を理解し、教育や研究の質向上に役立てることが重要になってきています。ここでは、生成AIの基本から具体的な活用例や注意点を解説します。 生成AIとは、データに基づいて文章や画像、音声など、新しいコンテンツを生成する人工知能のことです。 例えば、文章生成AIの代表例であるChatGPTは、人間との自然な対話を通して、求められた内容に沿った文章、翻訳、プログラムコードなどを生成することができます。 生成AIは、その種類も多岐にわたります。有名なChatGPTのような対話型の生成AIだけでなく、画像生成AI、動画生成AI、音声生成AIなど、さまざまな種類が存在します。 近年の生成AIの進化は目覚ましく、その性能は向上し続けています。例えば、ChatGPTの基盤モデルであるGPT-4は、アメリカの司法試験において、上位10%に入る成績を収めています。 しかし、生成AIは万能ではありません。簡単な計算ミスをするなど、まだ完璧な存在とは言えません。生成AIはあくまでも、人間の思考や活動を補助するツールとして捉え、その結果を鵜呑みにせず、批判的に検証することが重要です。
学生は生成AIをどのように使っているか?
大学教員としては、学生がどのように使うのかを知っておくことも重要ですので、学生視点の活用例についても紹介します。 最初に思い浮かぶのは、不正に利用されることかと思います。例えば、以下のような不適切な活用例が考えられます。 • レポートの自動生成 レポート課題の情報などを与えて生成AIにレポートを自動生成させます。ある程度のクオリティの文章が得られるとそのまま提出する学生も出てくる可能性があります。そのため、生成AIが自動生成しにくい課題にすることをおすすめします。例えば、課題に図を取り入れる、実験やフィールドワークを取り入れる、授業特有の専門的な内容を含めるなどが挙げられます。 • 選択式問題への自動回答 生成AIは、選択式問題が入力されると正解を出力することがあります。ただし、問題によっては正解できないものもあるため、すべての選択式問題が不正に解かれるわけではないですが、不正に解かれる可能性があることも念頭においたほうが無難です。 ここまでは、不正利用についてフォーカスして説明しましたが、学習を促進させるような使い方も可能です。例えば、以下のような例が挙げられます。 • 自分専用の教材作成 例えば、英語が苦手な学生であれば、苦手な単語をリストアップし、それらを使った例文を生成AIに作成してもらうことで、より実践的な学習が可能になります。 • 自作のレポートに対するフィードバック 完成したレポートを生成AIに入力し、「このレポートの内容について、改善点や追加すべき点などを教えてください」といった指示を出すことで、フィードバックを得られます。 ほかにも課外活動の場面で使うことも考えられ、活用の幅は非常に広いです。