全国制覇を果たした福岡大学附属大濠、片峯聡太コーチの抱負「今年はヘビのように紆余曲折しながらも日本一に向けて進みたい」
「目標とか指針があるのとないのとでは全く違う」
──日本人選手だけで戦う大濠としては留学生とのマッチアップがカギとなります。一昔前までの留学生はゴール下にどっしり構えていましたが、今はセンターよりもフォワードとしてプレーして外のシュートも打てる選手が増えてきました。 留学生の質、使い方も変わってきていると思います。だからこそスカウティングで相手のやりたいことを潰していかないと、どこからでもやられてしまうことになってしまいます。今回はスカウティングがまずあっての、選手たちの遂行力でした。 昔と比べると映像だとかデータだとか選手とのコミュニケーションツールも増えています。昔はコーチの経験や感覚に頼る部分が大きくて「先生が言うことを信じてやる」のが組織の作り方でしたが、今はそうはいきません。だからこそ、そういったツールを上手く活用して組織を作るチームが勝ち上がってきているんじゃないかと思います。 ──この1年間は『GIVE』というテーマを掲げてチームを作ってきました。そういったテーマを掲げたり目標設定することは、チーム作りにどんな影響を与えますか。 良い時はいいんですが、迷ったり悩んだり沈んだりする時に「僕らはやっぱりこれだよね」と立ち返ることのできる目標とか指針があるのとないのとでは全く違うと私は思います。そのためにそういったテーマを掲げていますし、毎年その代の選手たちを見ながら、その子たちに合ったものを選んでいます。 ──来年のテーマはもう考え始めていますか? 今年のチームがこれだけ強かったので、来年は戦力的にもキャリア的にも少し落ちてしまうので、「もう一回、チャレンジ」みたいなものを考えようと思います。何かこう、歯切れの良いものが準備できればと思います。
「次のステージでも必要不可欠な存在に成長できる」
──新チームは勝又絆選手と榎木璃旺選手のスタート2人が残り、サントス・マノエル・ハジメのような選手や新しく入るメンバーを組み合わせて連覇を目指すことになると思います。新チームにはどのような期待を持っていますか。 勝又も榎木もすごく良い選手で、今シーズンの優勝に2年生ながら絶対欠かせない選手でした。でも、じゃあ彼らが今のままで来シーズンにチームが勝てるかと言えば、やっぱりそうではないので。サントスの成長にも期待していますし、上手くチームを作らなければいけないと思っています。 タレント的にはサイズ感も含めて少し落ちますが、今の2年生、1年生も能力があって、今年のウインターカップの景色を見るとともに、3年生がこれだけ努力しなきゃ日本一になれないんだ、というのを見ています。逆に次の3年生は、能力がやや劣るからこそ、これまで以上に頑張らなきゃいけない。そこで自分たちにもっと磨きを掛けなきゃいけないというマインドを持ってほしいです。 ──日本一を勝ち取って卒業していく3年生たちの今後をどう見ていますか。 みんなどこに行っても主軸になれる能力を持っているだけではなくて、チームが良くなるために、チームが勝つために、自分が何をすべきかを考えて体現できる選手でもあります。だからそれぞれ次のステージでも間違いなく必要不可欠な存在に成長できると、そこは安心して見ています。 ──では最後に、今年も大濠に注目しているバスケファンへのメッセージをお願いします。 今年は巳年なので、辰年だった2024年の昇り龍のような圧倒的な強さはないかもしれませんが、ヘビのように紆余曲折しながらも日本一に向けて進み、またウインターカップの決勝の舞台に立てるように頑張っていきます。今年も福大大濠トロージャンズの応援をよろしくお願いします。