チェッカーズが社会現象とも呼べる人気を誇っていた1986年に公開された、映画「チェッカーズ SONG FOR U.S.A.」
チェッカーズの主演映画「チェッカーズ SONG FOR U.S.A.」は1986年7月に劇場公開されたもので、この頃はバンドにとっても大きな転機となった時期でもあった。 【写真を見る】チェッカーズが主演した映画「チェッカーズ SONG FOR U.S.A.」 リードボーカル・藤井郁弥(現:藤井フミヤ)、サイドボーカルの高杢禎彦と鶴久政治、ギターでリーダーの武内亨、ベースの大土井裕二、ドラムの徳永善也、サックスの藤井尚之の7人で1983年9月に「ギザギザハートの子守唄」でデビュー。翌1984年1月にリリースした2ndシングル「涙のリクエスト」がジワジワとランキングをあげて、最初のブレイクポイントとなった。勢いに乗った彼らが同年5月に3rdシングル「哀しくてジェラシー」をリリースする中、前作「涙のリクエスト」はロングヒット中で、デビューシングル「ギザギザハートの子守唄」もセールスを伸ばし、オリコンのランキングや「ザ・ベストテン」などの音楽番組に3曲同時ランクイン。デビューから1年経たずして人気を確立し、社会現象にもなった。 「星屑のステージ」「ジュリアに傷心(ハートブレイク)」と、リリースするシングルは次々と大ヒットになり、1984年には「NHK紅白歌合戦」へ初出場も果たした。1980年に松田聖子がデビューしてブレイクした時に、そのヘアスタイルを真似た"聖子ちゃんカット"が大流行したが、チェッカーズの場合も、前髪の真ん中を長く伸ばす藤井郁弥の髪型が大流行した。 ■社会現象ともいえる人気の中、主演映画も立て続けに公開される 1985年も勢いは増すばかりで、初主演映画「CHECKERS IN TAN TAN たぬき」が4月に公開されて大ヒット。公開前の3月にリリースされて同作の主題歌にもなった「あの娘とスキャンダル」ももちろんオリコン1位を獲得。「俺たちのロカビリーナイト」、「神様ヘルプ!」など、同年リリースしたシングルも誰もが口ずさめるヒットを記録した。 そして1986年、2月にリリースした「OH!! POPSTAR」に次いで6月にリリースされた11枚目のシングルが「Song fot U.S.A.」だった。この曲は7月に公開された映画「チェッカーズ SONG FOR U.S.A.」の主題歌でもある。 映画「チェッカーズ SONG FOR U.S.A.」は、主演映画第2弾の完成披露パーティーでフミヤが冗談のつもりで"解散宣言"をする。それがきっかけで大騒動となり、ファンとマスコミに追われる羽目になる中、彼らは黒人ミュージシャンと出会う。ちょうど自分たちの音楽に疑問を持ち始めた頃だったこともあり、その出会いによって、自分たちの"音楽"を見つけ出していく...という物語が展開する。終盤で見ることが出来るコンサートのシーンは感動的な仕上がりに。 劇中の解散宣言ではないが、この頃に生じたバンドとしての大きな転機というのは、シングルにおける楽曲制作の変化のこと。デビューシングルから「Song for U.S.A.」までの11枚のシングルの表題曲は、作詞を康珍化か売野雅勇、作曲を芹澤廣明が手がけてきた。しかし、1986年10月にリリースした12枚目の「NANA」は、作詞が郁弥、作曲が尚之によるもので、続く「I Love you, SAYONARA」も作詞・郁弥、作曲を大土井が手がけており、以降、ほとんどがメンバーによる楽曲になっていった。それまでも、アルバムの中ではメンバーが作詞、作曲を手がけた楽曲も収録されていたので、1986年のこの時期に、奇しくも映画の内容とリンクした形で、ベテランの作詞家・作曲家から巣立ち、シングルでも自分たちの曲で勝負を仕掛けたということだろう。"チェッカーズ"としてのスタイル、スタンスを大きく変えたというわけではなく、もちろんそれ以前を否定するわけでもなく、ナチュラルにシフトチェンジしていった感がある。 そのような時期に公開された作品として見てみると、映画の中にも新たな発見があるかもしれない。今も輝き続ける楽曲たちもたくさん劇中で聴けるので、ぜひチェックしてみてもらいたい。 文=田中隆信
HOMINIS
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