35歳今野泰幸と“ツネ様”率いるガンバ大阪の良好な関係
チームに生まれた相乗効果
開幕直前に右足首を痛めた。だましながらプレーしてきたが、なかなか試合に絡むことができない。前半だけでベンチに退いた5月12日の横浜F・マリノス戦後に、予備登録されていたワールドカップ・ロシア大会出場への可能性をゼロにするのと引き換えに、患部にメスを入れる決断を下した。手術が行われたのは同22日。全治までは約2ヵ月と診断された。 「正直、このままじゃ確実に(J2へ)落ちてしまう、やばいと思っていた。選手たちはみんな頑張っていたけど、それでも勝てない。僕が見ていても原因がよくわからなかったけど、ガンバは(J2へ)落ちてはいけないチーム。少しでも貢献して、何がなんでも残留したいと思って」 5年間指揮を執った長谷川健太監督(現FC東京監督)に代わり、かつてセレッソ大阪を率いたブラジル人のレヴィー・クルピ監督が就任した今シーズン。ガンバは開幕から苦戦を続けた。前監督のもとで喫した10敗のうち7つまでが1点差。肝心な場面で、球際における強さと粘りを欠いた。 宮本監督に代わってからは、新たな問題が頭をもたげた。1勝2分け3敗と波に乗れなかった8月は、11を数えた失点のすべてを後半に喫した。キャンプ前に十分な走り込みを課さなかった前任者のツケと、日本を襲った猛暑との負のスパイラル。後半に入ると足が止まり、運動量が落ちてきた。 「戦術的な落とし込みをする時間が少ないのは事実ですし、連戦のなかで課題の解消になかなかタッチできない難しさがある。仙台戦の後がちょっと空くので、そこからというのはありますね。いまは本当に立て続けに試合が来るので、そこをこなしていくしかないので」 一時は最下位に転落した8月戦線を戦いながら、41歳の青年監督はこんな言葉とともに巻き返しへの青写真を描いていた。8月19日のベガルタ仙台戦を終えれば、ようやく日程が緩やかになる。森保ジャパンが臨む国際親善試合が行われる関係で、9月になれば2週間の中断期間も訪れる。 走り込みを中心としたフィジカルトレーニングに加えて、戦術的な落とし込みもできる時間が生まれる。そして、復帰まで予定以上に時間がかかった、頼りになるボランチも帰ってくる。実は8月26日のY.S.C.C横浜との明治安田生命J3リーグ第20節で、今野は先発として53分間プレーしている。 5日後のフロンターレ戦での復帰へ向けた試運転。初めて経験するJ3の舞台で、開始3分には先制ゴールまで決めている。表情に精かんさを漂わせる今野に、宮本監督も手応えを感じずにはいられなかったのだろう。連勝中のチームに生じた右肩上がりの相乗効果を、こう振り返っている。 「トレーニングの質とレベルを上げることが勝利につながると、選手たちにはずっと言ってきた。そうすることで意識も変わり、コンちゃんの復帰もあり、連勝することでみんなに自信も戻ってきて、本来の自分たちはこうなんだ、と思い出しながらプレーできている。いろいろな要素が重なりながら、いまの状況につながっていると思う」