スズキ新型「GSX-S1000GX」の相手は世界。スズキが出したクロスオーバーへの解答
熟成ユニットに充実装備の組み合わせ
国内では2024年1月に販売が開始された「GSX-S1000GX」は、スズキのモデルラインナップの中でもスポーツツーリングセグメントで「Hayabusa」と双璧をなすバイクです。最新の電子制御技術を駆使したライダーサポートの数々を投入するのはもちろん、「GX(グランドクロスオーバー)」というジャンルを打ち出したことも大きなポイントだと思うのです。 【画像】スズキ「GSX-S1000GX」(2024年型)の詳細を画像で見る(18枚)
いま、排気量1000ccクラスのスポーツバイク、アドベンチャーバイク、スタンダードバイクなど合わせると、2021年に世界では20万台程の販売がありました。 その中で「GSX-S1000GX」が属するスポーツクロスオーバーカテゴリーのモデルは3万台と、10%超えのシェアを持つそうで、そのセグメントへのスズキの回答が、「GSX-S1000GT」と「V-STOROM 1050」の良さを併せ持ち、「GSX-S」シリーズのシャーシ、エンジンを活用して造り上げたクロスオーバー、それがこのバイクなのです。 国内でもお馴染みな、BMW Motorradの「S 1000 XR」(271万3000円~)、カワサキの「ヴェルシス1000SE」(204万6000円)、ヤマハの「トレーサー9GT+」(182万6000円)など、前後17インチのスポーツツアラーと同種のタイヤを履き、パワフルな多気筒エンジン、そして所有欲を満たすスタイルや、電子制御セミアクティブサスペンションを含む最先端の装備を併せ持つバイク達です。それぞれ装備や価格で特徴がありますが、「GSX-S1000GX」はどんなバイクなのでしょうか。
まずはその価格が199万1000円です。これは「Hayabusa」の215万6000円に次ぐ価格的ポジションです。むしろ、ベースとなっている「GSX-S1000」が143万円、「GSX-S1000GT」が159万5000円であることを考えると、装備充実度が想像できます。 羅列するだけでも、クルーズコントロール、クイックシフター、TFTダッシュパネル、コーナリングABS、勾配に応じてブレーキ配分を適宜変化させる仕組みも含まれています。 パワーモードセレクターでは、パワー特性とトラクションコントロールやABSの介入度を一括して変化させるパラメーターを設定。さらに電子制御セミアクティブサスペンションの特性も変えてくれます。 またサスペンションもソフト、ミディアム、ハードのダンピングはもちろん、ライダーが1人、1人プラス荷物、2人といったように、高荷重時に車体姿勢を補正するプリロードを自動で変化させるオートモードを含む、お好みで調整できるのもウリです。 さらに、不要な姿勢変化を抑えつつ快適性を保ってくれるセミアクティブサスペンションの場合、タンデムライダーが「ピッチングが少なくとても快適!」という印象を聞いたことがあります。これもツアラーとして大切な性能だと思うのです。 ライダーがよりタイヤの接地感を使いやすいよう動かす領域はしっかり設けるサスペンションECUマップを、スズキ独自で作り込んでいるという、その拘りこそこうしたバイクに欠かせない物語だと思うのです。