86年以来の聖地へ…古豪・京都商が前身の京都先端科学大付、昨夏府大会準V京都翔英破る/京都
<高校野球京都大会:京都先端科学大付4-1京都翔英>◇9日◇2回戦◇わかさスタジアム京都 古豪・京都商が前身の京都先端科学大付が、昨夏京都大会準Vの京都翔英を破る金星を挙げた。先発したサイドスロー右腕の串田宇孝(たかみち)投手(3年)が9回7安打1失点の完投勝利で、2年連続の初戦突破に貢献。同校OBで5月に悪性腫瘍のため亡くなった清川栄治さんへの弔い星を届けた。京都大会では福知山成美が亀岡に4-0、京都両洋は海洋に15-0、洛星は山城に1-0で勝利し、3回戦に進出した。 ◇ ◇ ◇ 京都先端科学大付ナインは古豪復活へ、燃えていた。先発投手の串田は「全部自分で放りきる気持ちで投げました」と興奮気味。9回7安打1失点で完投勝利だ。 中学2年でサイドスローに転向し、最速125キロながらシャドーピッチングを中心に体のキレを養った。京都翔英は練習試合で好投をしていた相手。「抑えられるしかない」と自信を頼りに腕を振った。 打線は2回2死二、三塁、9番辰己裕政外野手(3年)の中越え2点三塁打で先制。「強い相手で厳しい戦いだと思ったけど、いいタイミングで回ってきた」と胸を張った。 来年に創立100年を迎える伝統校。京都商時代は春夏通じて15度も甲子園に出場し、OBには元巨人の沢村栄治さん、今年5月に亡くなった清川栄治さんがいる。 過去10年の夏の京都大会の最高成績は昨夏の4回戦進出。15、17年は1回戦敗退を喫し、甲子園は86年夏から遠ざかる。それでも今夏はいきなり強豪校から勝利。堂弘監督(55)は「横綱相手にこれだけ正々堂々と勝負でき、自信になる」と納得顔だ。 京都で育った指揮官は、府内で勝ち抜く厳しさを知る1人だ。平安(現龍谷大平安)時代は1学年下の元阪神の桧山進次郎氏(日刊スポーツ評論家)と「1番遊撃・桧山」、「2番二塁・堂」でチームをけん引。85年夏に京都準優勝の成績を残している。そんな監督に導かれ、ナインはこの日、躍動した。 同校には清川さん伝説が残る。練習場北側の山道に懐中電灯を片手に「走らなアカン」と走り込んだ逸話は指揮官やナインも知る。今春の訃報後は「部員全員で黙とうした」と指揮官。「(過去に負けて)涙をのんだ先輩もいた中、1勝して校歌を歌えて良かった」。復活を予感させる勝利をかみしめた。【中島麗】 ◆京都先端科学大付 京都商として1925年(大14)に設立。同校名時代には春夏通じて甲子園に15度出場し、1940年(昭15)春と1981年(昭56)夏に準優勝。主なOBは元巨人の沢村栄治、元広島、近鉄の清川栄治ら。1990年(平2)に京都学園に名称を変更し、その後は甲子園出場なし。主なOBは元ソフトバンク、ロッテの大隣憲司、DeNA上茶谷大河ら。21年4月に学校法人永守学園と法人合併し、現校名に変更。所在地は京都市右京区花園寺ノ中町8番地。佐々井宏平校長。