目の不自由な人を「声」で支えて36年 雑誌文章を読み上げ、外出手助け「声に自信なくても大丈夫」
京都YMCA長岡こおろぎ (京都市西京区、京都府長岡京市)は、目が不自由な人たちに文章を音声にして届ける「声の雑誌『長岡こおろぎ』」を発行している。1月の「元旦号」のCDやカセットテープには、祝いや福をテーマとした文章の音読と邦楽を収録した。「華やかで、明るい気持ちになってほしい」と願いを込めた。 1989年、阪急長岡天神駅(長岡京市)近くのビルにあった京都西YMCAで発足した。以降、活動拠点を日本基督教団の長岡京教会(同市)、向日町教会(京都府向日市)と移転し、今は「日本キリスト教団桂教会」(西京区桂)で毎週金曜日に活動している。 メンバーは長岡京市など乙訓地域や京都市在住者の16人。乙訓や京都市、京都府亀岡市、大阪府内などの視覚障害者83人に「声の雑誌」を年10回届けている。文章を読む人、収録機材を扱う人、発音やアクセントをチェックする人と役割分担。「声に自信がなくても大丈夫」と新規加入を呼びかける。 活動のもう一つの柱は、視覚障害者の外出を支援する「ふれあい会」だ。春から初夏と秋の年2回、近畿各地に遠出する。昨年は兵庫県の淡路島を訪れ、お香作りを体験した。リスナーとメンバーとが顔を合わせる機会にもなり、初対面でも名前で呼ばれたという男性(91)は「声で分かるそうで、覚えてもらい、うれしい」と笑顔を見せる。 長岡京市で毎春行われる「ながおかきょう福祉まつり」では、来場者が視覚障害者の歩行を誘導する「手引き」を体験するコーナーを運営し、啓発にも取り組んでいる。難病の当事者団体が発行する会報の音訳にも協力してきた。昨年11月、ボランティア功労団体としての功績たたえる厚生労働大臣表彰を受けた。代表の橋本和子さん(65)はいう。「リスナーさんがいるからこそ活動を続けられている。皆さんに感謝です」 ◇連絡先など 活動日時は毎週金曜日午前10時~午後1時。活動場所は阪急桂駅東口から徒歩数分の日本キリスト教団桂教会(京都市西京区桂野里町)や長岡京市社会福祉協議会(同市神足2丁目のバンビオ1番館)。問い合わせは市社協075(958)6912。