何度叱っても「失敗を繰り返す子ども」に効果的な注意の仕方とは?
対話のもたらす力
親が子どもに「こんなふうに育ってほしい」と思っていても、子どもの意志を尊重せずにその思いを押しつけると、子どものやる気を奪ってしまうことがあります。子どもになにかを伝えたいときは、親が命令や指示をしてコントロールするのではなく、親子で話し合いながら伝えたほうがいいと、私は考えています。 たとえば、子どもになにかをしてほしいなら、ただ「これをしなさい」と言うのではなく、どうして親であるあなたが子どもにそれをしてほしいかを伝えるのです。そして「お母さんはこう思うけれど、あなたはどう思う?」 と、それに対してどう思うか意見を聞いてみてほしいのです。 反対に、なにかをやめさせたいなら「やめなさい」と指示するのではなく、それをしたらどうなるのか、なぜやめたほうがいいと思うかを話して、子どもがどうしたいと思うのか意見を聞いてみてほしいのです。 親が方針を決めるのではなくて、対話をしながら、こちらの思いを伝えるのです。以前、娘が友だちの悪口を言っていたことがあり、それは人に言ったら絶対にダメだと思う言葉だったので、私は頭ごなしに怒ってしまう衝動にもかられたのですが、ひと呼吸おいて、どういう状況で、どうしてその言葉を言ったのか娘に聞いてみました。そして、「もしも、あなたがそんなふうにお友だちから言われたら、どう思う?」と。 娘は「そんなこと言われたくないって思う」と答えたので、私は「そうだよね。ママも言われたくないよ。だから、○○ちゃんも言われたくなかったんじゃないかな?」と言いました。 すると、娘も納得してくれたのか、お友だちに謝っていました。対話は、ただ叱って「やめなさい」と言うよりも時間がかかります。「そんなことを言うのはやめなさい」とひと言で言ってしまったほうが、ずっと楽かもしれません。 でも、子どもの脳というのは、まだまだ大人に比べて未発達なのです。性急に結論を押しつけても考えが追いつかず、理解ができないことは精神的にとても負担が大きいので、子どもがその反動で反抗的になってくる原因になることもあります。 「子どもが言うことを聞かなくて、とても反抗的なんです」と思っている親御さんは、ぜひお子さんとの対話を増やしてみてください。「あなたがそれをされたら、どう感じるか」という感情を子どもに想像してもらうことで、おのずと「では、どうしたらいいか」という答えがわきあがってくるのです。
精神科医さわ(児童精神科医)