税制改正で「イデコ改悪」と不満広がる 65歳で受けられた税優遇が70歳に引き上げ
■ルール変更の狙いは
受け取る順序を逆にして、イデコの一時金より先に会社の退職金を受け取る場合には、退職金の受け取りから20年経過しないとイデコの退職所得控除を満額利用できない「19年ルール」というものもある。仮に55歳で退職金を受け取った場合、イデコは75歳まで待たないと満額で控除を受けられない。
ただ、イデコの受給期限は75歳のため、「実質的にこの条件をクリアして、控除を最大化するのは不可能に近い」(山下氏)。19年ルールよりも5年ルールを利用した方が多くの控除を受けられるため、ユーザーからは不公平との指摘もあったという。
7年度税制改正での5年ルールの見直しは、こうした不公平感を是正する狙いがあると財務省は説明する。その上で、「税制改正を機にルールの違いを理解してもらい、退職金やイデコの一時金を受け取るタイミングを考えてほしい」と呼びかける。
一方で、山下氏は「一連のルール変更は、定年70歳の義務化に向けた布石ではないか」と指摘する。SNSでも、「定年70歳に義務化する前のルール変更は順序が逆」、「すでにイデコを始めた人まで変更したルールに従わないといけないことは大問題」といった不満の声が噴出。「イデコ改悪」に賛同する意見があふれている。