【50代・老後と介護のリアル 】60年変化なしだった介護の時の「下の世話」に革命!フィトテラピー(植物療法)による陰部洗浄液が誕生
フィトテラピーによる陰部洗浄が一般にも広がれば、ケアする側の人の負担もラクになると言える。具体的には、どんな成分のものになるのだろうか。 森田:植物が持つ抗菌力に加えて、構造が尿路感染症にも効果があると言われる特殊なペプチドを配合しました。それにより抗菌活性が期待できると同時に、菌の抑制効果、そして肌の保湿効果も目指しました。洗浄液は泡状になっているのですが、泡の界面活性もまた、抗菌力を発揮します。陰部にのせるだけで自然に液状になって汚れが落ちるというもので、災害時に使用されるような、水を使わないシャンプーをイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。今回の陰部洗浄もまた、災害時など、水が使えない場合にも活用できるものになればと考えています。 浜崎:森田さんには、「効果的な洗浄もしたい」「保湿もしたい」という欲張りなリクエストをさせていただきました。 一般的なボディソープの泡は、肌に乗せるとそのままの形状で残るのですが、今回開発された陰部洗浄は、局部につけると大陰唇の間から肛門までスーッと流れ、液状になった泡がなめらかに汚れを落としていきます。私たち看護師は、大体1日に1回陰部洗浄を行うのですが、1日1回のケアよりも、おむつ交換をするたびに今回の陰部洗浄液でケアをしてさしあげた方が、患者さんもスッキリしてきれいになるし、炎症などのトラブルも少なくなるのではないかと考えています。毎回、外陰部を広げて洗わなくても清潔に保つことができるなら、患者さんにとっても、医療者にとっても陰部のケアそのものが変わるのではと期待しています。 姜:今回のような取り組みを続けながら、緩和ケアのありようを新たにしていくことで、これまでの日本にはなかった緩和専門のフィトテラピーを確立していきたいですね。そこでマッサージやスキンケアなど、看護師たちの「もう一つのスキル」を作っていきたいとも願っています。それは患者さん、またその家族の方の立場に立った時、「ちょっとこの部分はどうしていいかわからないし、足りていないね」という部分でもあります。そういうニッチなところから介護を変えていかなければ、医療側も、働き手がどんどん失われていくのではと思うからです。 森田:腟ケアも介護における陰部のケアも長らくタブー視されてきましたが、やっぱり人間の尊厳に直結する部分ですから、「見て見ぬふり」のままではいけないと思いますね。フィトテラピーを応用したこういった取り組みが、今後どれほど私たちのQOLを高めていくのかを、ぜひ多くの方に知っていてほしいと思います。 腟ケアに続く、大革命が起きそうだ! 誰もが迎える老後。でも、介護の未来を変えていこうとしている方々がいることを知るのはとても心強い。次回は、おむつ不要の老後のために、40代50代女性にとって必要なことについてお話を伺う。