【50代・老後と介護のリアル 】60年変化なしだった介護の時の「下の世話」に革命!フィトテラピー(植物療法)による陰部洗浄液が誕生
医療介護の現場でも使用されている「Mesoins(メソワン)」のプロダクツ
スキンケアの延長線上には、患者さんの陰部のケアもある。いわゆる「下の世話」といわれる問題は、これまではあまり改善がなされてこなかった部分。そこでもお二人の新しい取り組みが始まったという。 森田:「Mesoins(メソワン)プロジェクト」と題して、フィトテラピーを使った陰部洗浄液を、八千代会さん、そして東大研究者の方々とともに開発しました。すでに製品化はされていていずれは商品化もしたいのですが、まずは医療介護の現場に届けたいと考えています。そのために、今は必要なエビデンスを取るという、実証段階にあります。 姜:今回のプロジェクトについて、ご協力をいただいた東大医学部の教授の方々のお言葉がとても印象的でした。それは、「これまで60年間変わることがなかった介護の問題が、いよいよ改善しますね。介護の未来が変わります」というもの。つまり長い間、おむつ交換の際の陰部のケアがずっと変わってこなかった、ということですね。
医療介護の現場では、これまではどのような陰部ケアが通常だったのだろうか。現場の声として、八千代会が運営するメリィホスピタル副院長、看護部長の浜崎忍さんに伺った。 浜崎:私たち看護師は、患者さんが若い方でも高齢者の方でも、陰部のケアについては約60年前からずっと同じ方法を教わってきています。それは、入浴できない方に対する陰部洗浄というケアの方法で、ボトルに入れたお湯を流しながら洗浄する方法です。それをずっと続けてきたのですが、でも果たしてこのやり方は本当に効果的なのだろうか?という疑問を現場は抱えていました。そこで森田さんに、「もっといい方法がないのでしょうか?」とご相談をしたのが、今回の開発の始まりでした。 森田:誰もが目を背けてきたことに対して疑問を持ってくださった看護部長の浜崎さん、そして共に動いてくださった姜さんのパワーは、私にとっても本当に希望そのものでした。 ドイツでは、「寝たきりになりおむつの中に排泄をするようになると、人は自分の尊厳を守るために、自己防衛本能から認知症になる」という論文も多く出ているのです。姜さんはじめ、八千代会の現場の方々とはずっと、「これからの医療介護は、そういった人間の本能も考えたケアを取り入れていくべきではないか」「下の世話という言葉自体も、変えていきたいですね」と話し合い、ようやくここまでたどり着くことができたのです。