「安倍やめろ」✕「増税反対」〇、北海道警ヤジ排除事件、賠償確定でも残ったモヤモヤの正体
●原告「二度とこんなことが起こらないようにちゃんと検証すべき」
9月9日午後、桃井さんは北海道政記者クラブで多くのカメラに囲まれていた。 「まず知事は、こういう判決が出たことを重く受け止めるべきだと思います。表現の自由が奪われたことを司法が認めたわけですから。警察や公安委員会についても、5年にわたる裁判で『違憲』『違法』という判決になったのに、それを受けて処分とか再発防止策とか何もしないんだったら、本当に司法が軽視されていることになる。 『裁判に敗けました。慰謝料払いました。はい終わり』で済むわけないと思います。二度とこんなことが起こらないようにちゃんと検証すべきですし、排除に関わった警察官、その時の責任者の本部長も含めて、処分をすべきだと思います」 実質勝訴が確定した桃井さんはこの日、裁判の相手方だった北海道の各機関に要請書を提出し、謝罪や関係者の処分などを求めた。提出先は知事部局と警察本部、及び公安委員会の3機関。いずれの対応も知事や警察本部長などではなく職員が代行し、あまつさえ知事部局については当初、直接の手交を拒んで要請書の郵送提出を促してきたという。 申し入れの具体的な内容は、知事に対しては「謝罪」「再発防止策の実施」及び「違法行為の原因の検証と結果の公表」、警察本部に対しては先の3点に加え「関係者の処分」、公安委に対しては「警察への適切な指導」及び「一審判決後の対応の原因の検証と結果の公表」。ただ、知事と警察への要望は道側に回答の義務がなく、場合によっては何の反応も得られない可能性がある。 一方、残る公安委への申し入れは警察法79条で定める「苦情申出」の形をとっているため、同法に基づいて苦情処理の結果が文書通知される可能性があった。その公安委が先の齋藤弁護士あてに『連絡書』を送ってきたのは、申し入れから3日を経た9月12日のこと。以下、その全文を採録しておく。 《令和6年9月9日に受理した文書により、齋藤様から北海道公安委員会宛に申出のありました件については、北海道警察に調査を指示いたしました。回答には時間を要する場合がありますので、御承知おきください》 桃井さんらが公安に求めたのは、警察への適切な指導と、公安委自らのこれまでの対応の検証などだ。その要請に対して返ってきた答えが「警察に調査を指示」。齋藤弁護士は「あまりに他人事のような対応に驚きを感じる」と歎息する。