【Q&A】PCR検査って何?
新型コロナウイルスに感染しているかどうかを判断する「PCR検査」。実は、この検査手法を開発した生化学者の故キャリー・マリス氏はノーベル化学賞を受賞しています。いったいどのような手法なのでしょうか? 東京都医師会の尾崎治夫会長に聞きました。
Q:PCR検査はどのような手法ですか?
対象者から検体を取り、ウイルスの遺伝子の増幅を繰り返すことで特定のウイルスを見つけることができる方法です。
Q:新型コロナウイルス以外でも使われているのでしょうか?
PCR検査は一般的に使われてきており、例えばインフルエンザやRSウイルス感染症、デング熱などでも用いられています。鼻の奥に綿棒を入れられた経験は多くの人があるのではないでしょうか。
Q:PCR検査の精度はどのくらい高いのでしょうか?
検体を身体のどこから採るかによって正しく診断される割合が変わります。諸説ありますが、喉(のど)からだと30%、鼻の奥だと60~70%、痰(たん)や肺に近い所であれば90%程度で肺に近づくほど上がります。 ただ、どの手法にしても100%ではありません。本当は陽性なのに陰性と診断される「偽陰性」は一定の割合で出てしまうので、「陰性」の結果が出てもかかりつけ医らのアドバイスを受けながら一定期間は自宅で安静にしていただきたいです。
Q:なぜPCR検査を行うことが重要なのですか?
「陽性」と判断されれば、中等症以上であれば病院に入院、軽症なら民間ホテルを使った宿泊療養に入ることができます。いずれにしても医療的な管理下に置かれるため、体調が急変した際にすぐに対応することができるほか、他の人にウイルスを感染させずに済みます。 一方、「陽性」と診断されることと、他人への感染力が強いか否かは別問題です。症状が出る2日前から、症状が出た後1週間程度がもっともウイルスの感染力が強いとされています。少しでも体調不良であれば会社を休むなどの判断をしてください。
Q:東京都医師会はなぜPCRセンターの設置を始めたのですか?
これまでの仕組みでは保健所を通さないとPCR検査を受けられませんでした。しかし、保健所の業務過多などにより検査を受けたくても受けられない人が多くいました。そのため、医師が新型コロナウイルスへの感染が疑わしいと判断した患者が、迅速に検査を受けられるようにするため、医師会が主導してセンターの設置を始めました。