地震、大雨災害が不眠の引き金にならないように【40代・50代の睡眠改革】
ネムリノチカラ代表、快眠コンシェルジュのヨシダヨウコさんと「質の良い睡眠」を探求するOurAge連載「ニッポンマダムの睡眠改革 」。今回お話しいただいたのは、“災害への不安が引き起こす不眠”対策についてだ。 「“震度6!” ちょうど歯医者で治療中のモニターに大きく映し出された文字。場所は日向灘。誰もが『南海トラフか』と頭をよぎったのではないでしょうか。翌日には神奈川を中心に大きな地震。さらに台風接近と、脳の危険信号がやや過敏になっていても当然かもしれません。 内閣府の防災白書によると、阪神・淡路大震災の犠牲者の約8割が家屋の倒壊等に巻き込まれて亡くなり、東日本大震災の時は、約9割の方が津波によって亡くなったそうです。近年の日本は地震、水害の規模が大きくなり、『数十年に一度クラス』『数百年に一度』など、もはやこの言葉にも慣れがでてきている気さえします。 今までも何度か『夜中の災害への準備』的な事を書いてきました。 (『夜中の地震、寝室から脱出できますか?』 『夜中の災害に備えて。寝室で今すぐ点検しておきたい3つのこと』) あらためて装備などを点検しておくことは、この時期にやっておきたいことのひとつですね。備えあれば憂いなしともいいますが、とはいえ不安ばかりに囚われてしまうのも少し困ったことになります」
不安で眠れない夜は誰しもありますが…
災害や人間関係、金銭問題、カラダの不調、今後の人生設計などなど「不安」の種は次から次へと頭の中に浮かぶ。 「そんなときは頭の中にある不安の種を一度整理してください。 自力で解決可能な事なら実行に移す。例えば防災準備をしておく、家具の固定、連絡網、避難経路の確認などある一定の準備ができたらそれ以上の過度な心配はしないこと! もし今、地震がきたら。家が崩れたら。そんな風にばかり考えていると結果的にストレスとなり、寝付きにくさを常態化させてしまうことにもつながります。すると入眠困難な状態があたりまえになってしまい、ご自身にとってとてもデメリットが大きいものになります。 不安の要素があってもある程度は『大丈夫、できる備えは完了!』と思って就寝してください」 それでもやはり不安で入眠できない時の対処法はいろいろあるが、視点を変えるのもひとつの方法だとヨシダさん。 「おススメしているのが眠る時に『今日のいいことを3つ探す』です。今朝起きてからあったことを思い返して、よかったな。うれしかったな。気分がいいな。そんなことを3つピックアップしてみてください。 “そんないいことなんて全然ありません!” そのように言われることもありますが、きっと何かしらあるはずですから、まずは朝からの出来事を丁寧に思い返してみてほしいのです。例えば『今日は朝から青信号でスイスイ目的地まで行けた』とか『犬の散歩で新しい道を歩いたら知らないパン屋さんを見つけた』とか『お隣さんに今日履いていたサンダルを褒められた』など何でもいいんです。 些細なことは日々見落とされがちですが、思わず口角が上がるような出来事を思い出して、ココロを自分でホッコリさせてほしいのです。 いいことを3つ考えているうちにストンと眠っていることがほとんどです。眠る時はストレスを手放し、『笑って寝』を推奨している私としては、みなさんが笑顔で眠ることを願って眠りについています。では、今宵も良い眠りを」
【話してくれたのは】 ヨシダヨウコ ネムリノチカラ代表。快眠コンシェルジュ。日本睡眠学会正会員。寝具店の娘として生まれ、心地よい睡眠を幼児期より体験するが、社会人になりたての頃、働きすぎで体調を崩す。また、実母の介護生活からも睡眠の重要性を再認識する。 漢方、発酵食、アロマ、呼吸、瞑想、ストレッチなどを取り入れ、日々「質の良い睡眠」を探求しながら、各方面へ発信中。代表を務めるネムリノチカラでは、企業の健康経営セミナーや個人の睡眠相談に応じるなど、睡眠全般についてのサポートを行っている。著書に『眠りのチカラ タイプ別睡眠改善&リッチ睡眠TIPS 101』(みらいパブリッシング)がある。