司法書士が教える「会社設立」の手順 「登記申請~登記完了後」に求められる“対応”とは?【司法書士が解説】
本連載では、ここまで会社設立のための準備を徹底解説してきました。本稿では、最終プロセスである「登記申請」について見ていきましょう。この手続きには正確さと準備が求められ、不備があれば申請が受理されず、設立スケジュール全体に影響を及ぼします。加陽麻里布氏(司法書士法人永田町事務所 代表)が、登記申請の具体的な流れや準備すべき書類、成功させるためのコツ、注意点までを詳しく解説します。
会社設立の最終プロセス、登記申請
登記申請は、会社を「法人」として成立させるための公式な手続きです。登記を申請し、これが完了することで会社は法律的な存在として認められ、正式な事業活動を行うことが可能になります。 【登記申請に必要な書類一覧】 登記申請には、次の書類を提出する必要があります。これらの書類に不備があれば、法務局での審査が通らないため、作成時に慎重な確認が必要です。 1. 登記申請書 会社の基本情報を記載する最重要書類です。記載内容には、会社名、本店所在地、資本金、役員情報などが含まれます。 2. 認証済み定款 公証役場で認証を受けた定款の原本(またはPDFデータ)です。電子定款を利用する場合は収入印紙代が不要ですので、コストを削減できます。 3. 払込証明書 発起人が出資金を適切に払い込んだことを証明する書類です。振込履歴を記載した通帳のコピーを添付します。 4. 役員の就任承諾書 取締役や監査役などがその役職を承諾したことを示す書類です。各役員の署名と押印が必要となります。 5. 役員の印鑑証明書 各役員の印鑑証明書(発行から3ヵ月以内のもの)を添付します。 6. 印鑑届出書・印鑑カード交付申請書 法人実印を法務局に登録するための書類です。登記完了後に法人印鑑証明書を取得する際に必要となる、印鑑カードの交付申請書も作成します。 7. 発起人決定書(必要な場合のみ) 定款で本店所在地を最小行政区画までとした場合、具体的な本店所在場所を決定したことを証する発起人決定書を添付します(※定款の附則に本店所在場所を定める場合は、この書類の作成・提出は不要です)。