日産とホンダ、持ち株会社設立へ協議 経営統合も視野=関係者
Maki Shiraki Norihiko Shirouzu [東京 18日 ロイター] - 日産自動車とホンダが、持ち株会社設立に向け協議をしていることが分かった。事情を知る関係者2人が18日、明らかにした。両社が傘下に入る形で、技術などをそれぞれ持ち寄り協力を深めることを検討している。関係者のうち1人によると、経営統合も視野にある。 もう一方の関係者によると、23日午後に会見を開く方向で調整している。日産が筆頭株主となっている三菱自動車工業も同席する。3社合わせた販売台数は850万台前後と、1位のトヨタ自動車グループ、2位の独フォルクスワーゲングループに次ぐ規模となる。米テスラや中国の比亜迪(BYD)など新興の電気自動車(EV)メーカーが台頭する中、長く世界で存在感の大きかった日本の自動車産業が再編される可能性が出てきた。 3社とも「将来的な協業についてさまざまな検討を行っている」とのコメントを出した。「更新情報があれば適切な時期にステークホールダー(利害関係者)に知らせる」とした。 前出と別の関係者2人によると、日産には台湾の鴻海精密工業が出資を打診したが断られた。鴻海のコメントは現時点で得られていない。日産はコメントを控えた。 18日の東京株式市場で日産株は買い注文が殺到し、前営業日比で一時ストップ高水準となる24%高まで上伸した。三菱自は19%高、一方でホンダはマイナス圏で引けた。「短期的に株価のインパクトはホンダにネガティブ。日産は完全に救いの手をホンダからから差し伸べてもらうということなのでポジティブ」と、東海東京インテリジェンス・ラボの杉浦誠司シニアアナリストは話す。 日産とホンダは3月、電気自動車(EV)を中心とした電動化・知能化分野での業務提携の検討を始めると発表。その後、ソフトウエアで機能や性能を更新できる車両「SDV」向けプラットフォームの共同研究、電池、EV駆動装置「イーアクスル」の共通化、車両の相互補完、国内充電サービスなどで協業する方針を示していた。 両社で技術を持ち寄り開発スピードを加速するほか、規模拡大でコスト競争力を高め、EVで先行する米中勢に対抗する狙いで、巨額の開発コストを分担し、投資負担を抑える考えを示していた。 日産は北米と中国で販売が低迷して業績が急速に悪化。11月の決算発表に合わせ、世界で生産能力を2割、人員を9000人削減するリストラ策を公表した。 (白木真紀、白水徳彦取材協力:竹本能文、小宮貫太郎、Zhang Yan)